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全力でお気持ちを表明するよという話

個人的に非常に不快&理解不能なメールを受け取ったので、それに対するお気持ちを表明したいのです。
「それってあなたの感想ですよね」
そうです!その通りです!
正しい正しくないではなく、全力でお気持ちを世界に向かって叫びたい、そういう主旨です。

ことの始まりは新しく眼鏡を作ろうと思い立ったところからです。
近年は格安眼鏡ショップでありがたく購入していたのですが、いい大人になりましたし、外出時の服装にもマッチするおしゃれで高価格帯のお店で作ろうかなと思い、Instagramの広告で知ったショップに来店予約を取ることにしました。

このショップを選んだ理由としては、顔型診断、すなわち「あなたの輪郭や顔立ちだとこのようなフレームがお似合いです」とお勧めしてくれるサービスに興味を持ったためです。
どうせ高いフレームを購入するのであれば似合わないより似合っていた方がいいですからね。予約の日程を選び、簡単なアンケートに回答して、「いやーひさびさにいい眼鏡買えそうだなー」とわくわくしながら来店日を待ちわびていたところ、前日に以下のメールが届きました。

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⚫︎⚫︎⚫︎店でございます。
この度はメガネ選びのご相談でご予約いただきまして、誠にありがとうございます。
ご入力いただきましたアンケート内容に関してご希望に合ったご案内をする事が難しいため、事前にご連絡差し上げました。

希望するご予算がございましたらご記入ください。【3〜4万円

当店では日本製をメインで取り扱っていることもあり、フレームだけのお値段で30,000円〜52,000円 (税抜) になっております。
さらにレンズ代8,000円〜50,000円 (税抜) が追加されますので、ご希望の予算を超える形になります。
ご予算内で収めることができず、大変申し訳ございません。
お安くても税込40,000円以上を想定していただければと思います。

今回ご予約いただきました顔型診断のサービスですが、あくまでもメガネ選びのためのサービスになりますので、顔型診断だけをご希望のお客様のご案内はできかねますのでご理解いただきますようお願い申し上げます。

予算が合わずご来店が難しければ、予約時間の4時間前まではお客様の方でもネットからキャンセル可能です。
お電話・メールでもキャンセル承りますので、お気軽にご連絡ください。
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このメールを読んだ瞬間、「君、失礼ではないかね」ってリアルに思いましたね。
いや自分がこんなマンガみたいなセリフ思い浮かべるとは。しかもどちらかというと主人公サイドにやり込められるおっさんのセリフやんけ。(一敗)

初来店の客を平気で冷やかし扱いしてくる態度にも驚き呆れたのですが、この会社のマーケティング大丈夫?!という困惑がそれを上回りました。
ツッコミどころが多すぎて頭を整理するのにやや時間を要しましたが、ひとつずつお気持ちを表明していきたいと思います。

⚫︎希望するご予算の件

たしかに私は予算3〜4万と回答しました。
でもこの部分、回答者の自由回答ではなく、ショップが用意した選択肢のうちの1つなんですよね。
その他の選択肢に「5万」とか「10万」のレンジもあったように思いますが、どのような商品を扱っているかも分からないのに「予算10万です」とはちょっと私には言えません。
そもそも論として、3〜4万で購入できる商品がほとんどないのであれば選択肢として用意すべきではないでしょうと。
提示する選択肢が5万以上のレンジしかないのであれば、こちらもそういう価格帯の店だと思って来店しますし、実際に来店した客が「でも5万かあ、、」と悩んでいるようであれば、そこで初めて「もう少し価格を抑えた商品もございますが」という提案に使えばいい話だと思うんですよね。
少なくとも初来店する客に店として選択肢として提示しておいて、「それないから」という後出しジャンケンしてくるのは控えめに言ってクソです。

⚫︎ターゲット設定と打ち出し方がちぐはぐだから起きている現象を客のせいにするな

メールの中段以降の話です。
まあこのメールを読むと店(というか現場)に同情できる点もないことはないんですよね。
私がこの店を知ったきっかけはInstagramのプロモーションでした。媒体的におしゃれな若い女性をターゲットにしたものだったのでしょう。
実際に若い女性に刺さるようなカジュアルな雰囲気で、「顔型診断で気軽に自分に似合う眼鏡を探そ♪」的なノリでした。失礼ながら高品質、高価格を想起させる要素はゼロだったと記憶しています。おそらくそのようなプロモーションを打った結果、ターゲットにしたい「おしゃれな若い女性」は集客できたものの、顔型診断だけして「検討します」で売上には繋がらなかったのではないかと思われます。
現場にしてみればそこそこ長い時間接客して成果につながらないのであれば、たしかに事前に見込みのなさそうな客は弾きたいというのも頷けます。

でも、客を選別してふるいにかける作業(広告の打ち出し方)を失敗したからといって、来店予約後のこのメールでスクリーニングしようとするのは悪手でしかないと思うんですよね。

なぜならハードルを超えて予約した客をリリースさせる方向に誘導しているからです。
よく知られていることではありますが、toC、toBに関わらず、認知してもらうことと、実際に来店(商談)に繋げることの難易度は異なります。
客の購買行動はピラミッド型と言われますが、認知→来店→購入→リピーターと段階が進むほど母数は小さくなっていくので、購入に繋げるための第一歩としてとにかく来店してもらうことが大事というのは概ね共通認識だと思います。

もちろんターゲットをがっつり絞った商品展開で成功している企業もありますし、来店して欲しい客層にのみ広告を掲出することも可能ですが、正直コスパは悪いです。
ましてや今回の場合、商品は眼鏡。用途がはっきりしているだけに、不要な人は絶対に購入しないでしょう。
また、いくら技術が進んでいるからといって、広告の閲覧者の視力までは属性として把握できないと思われるので、それぞれの購買行動の各段階の歩留まりを上げて購入まで進んでもらうには最初の母数=来店数を確保する方が良く、それを実現するために高い広告代を捻出して集客に力を入れていると思うんですよね。

にも関わらず、このメール文面がこの企業のテンプレによるものなのか現場の判断で作成しているものなのかは分かりませんが、わざわざ予約フォームにアクセスして来店予約を入れた客に対してキャンセルを促しているので、私としては頭の中が「なんで?」であふれているわけです。

来店を促すために広告を打ったんですよね?
その広告費を無駄にする行為ですよね?
いやほんと理解できないこわい。
なんだろね、成果指標として来店数に対する購入者比率とかあるのかな。
まあそれなら予算低い客はどうせ買わないし分母でかくなるだけだから来ないでというのも分かるかも。
でもまあそれだったとしてももう少し言葉を選ぶよね、完全に客を貧乏人扱いしてるじゃんこれ。

もしどうしてもスクリーニングしたいのであれば、予約確定後ではなくせめて予約時にすべきです。
客が自ら「この店はnot for meだ」と感じれば予約を入れようとは思いませんし、「自分が判断して予約しなかった」と考えるので、店に対して悪印象も抱きにくいはずです。

そのスクリーニングの方法として、最初に挙げた「予算設定の下限を販売価格の中央値で設定する」のも有効だと思います。
何もくそ真面目に最低金額の商品を提示する必要はないですよね。予算5万を最低レンジにすれば、眼鏡にそこまで出す気はない人はおそらく最初から予約しないでしょう。
極端な例ですが、2万円の予算でバッグを買いたい人は最初からCHANEL等のラグジュアリーブランドには行かないですよね、ということです。

⚫︎商売センスのかけらもない言い回しってほんとむかつく

失礼の塊のようなメールの中で私がもっとも不快に感じたのは以下の文言です。
>予算が合わずご来店が難しければ
え、なにこの商売センスのない文言
客に喧嘩売っとんのか?
それともあえて煽って「金ならあるよ!」と来店させて購入してもらう作戦なのか?ある意味炎上商法やのう

たとえば100歩譲って私の予約した店舗は予算3〜4万での選択肢がほぼなかったとしても、他の支店ではもう少し種類があるのであれば、「ご予算の範囲であれば⚫︎⚫︎店であれば当店よりも種類がございますので、差し支えなければそちらをご紹介することも可能ですが、いかがでしょうか」みたいな案内もできますよね。

というか予算ってそこまで絶対なものなんでしょうかね、とも思うんですよね。
私若い頃大手エステサロンで働いていたことがありまして、まあそこは営業方針がほんと合わなくて1年程度で辞めているのですが、鬼のように厳しい本部マネージャーの「人って本気で欲しいものならローンを組んででも買うのよ」という言葉だけは今でも強く心に残っています。
その言葉の後に「だからお客さんに施術チケットを購入してもらえないのは本気で欲しいと思わせていないからでしょう」と続くので早々に辞めてよかったなと思っているのですが。

やや脱線しましたが、もちろん金銭感覚がしっかりしていて「予算絶対」の人も少なくないとは思います。
でも本当に自分に似合っていて気に入ったなら、私なら当初予算の倍くらいまでなら出すだろうなという感覚です。建前予算と真の予算というやつですね、さすがに10万は出さないと思いますが。

このメールを受け取って、キャンセルするか正直すっごく悩みました。
「ここでキャンセルしたら、私はこの店では金のない冷やかし客認定されるやで」とつまらないプライドも顔を覗かせました。
でもね、こんな失礼なメールを送ってくる店に5万↑出したくないな、という想いの方が勝り、高級でおしゃれな眼鏡ならそれこそ百貨店の中にもあるし、眼鏡専門店という選択肢もあるよなと思い直してキャンセルしました。
若い頃なら悔しいからこの店を訪れて高い眼鏡買っていたかもね。
大人になったなあと感慨に耽りつつ、それはそれでお気持ちだけは表明しておこうと殴り書いた次第です。
私からは以上です。




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