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東証が「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を公表しました - ポイントや今後の施策は?

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応の今後の施策

X(旧TwiX(旧Twitter)でも紹介をさせて頂きましたが、昨日、東証が「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を公表しました。

https://www.jpx.co.jp/news/1020/mklp77000000fi3d-att/mklp77000000fi60.pdf

正確には、東証は上場企業に個別に通知をしたということです。この手の公表は、東証は上場各社の東証担当窓口にメールで通知をしますので、各社の担当者は昨日時点で認識はされているとは思います。

東証が23年3月末に株価を意識した経営の取組みを開示せよと上場企業各社に命じてから1年が経過する中、東証が機関投資家、信託銀行、コンサルタント等に60社超にヒアリングをして、考えをまとめたようです。

ポイントは?

企業群を区分

株価を意識した経営の開示状況から東証は上場企業を次の3つに分類しました。
企業群①︓⾃律的に取組みを進める企業
企業群②︓今後の改善が期待される企業
企業群③︓開⽰に⾄っていない企業


企業群③の企業は、プライム市場の中で14%(237社)、スタンダード市場の中で56%(901社)となっています。やはり、スタンダートではまだまだの企業が多いですね。時価総額も小さく、流通株式数も少なく、機関投資家の投資先になりにくいので、機関投資家の株式保有比率も小さいため株価を意識した経営の開示への圧力も小さいのが要因と思います。

企業に色々と意見をいうのは機関投資家ですので、機関投資家が少なければ企業は放置するのは仕方がないところですね。上司が叱らないと部下は仕事をしないことが多いのと本質的に同じです。

今後の施策

東証としては、まずは企業群②の企業の開示の改善を図っていきたいようですね。まずは「成績が中クラスの企業」をしっかりとサポートしていくということですね。
今後の施策が気になるところですが、詳細は今後のようですが、次のようなことを予定しているようです。まずは、投資者との目線の「ズレ」を解消するための検討材料の提供です。これについては次の3つがあります。

  • ポイント・事例集のアップデート(11月上旬公表予定)

  • 開示状況等による市場評価(株価)の変化の紹介

  • 全国の上場会社経営者や担当者に対する啓発(セミナー・個別訪問)の継続実施(年初に専任グループ設置

事例集のところは、投資者が期待するポイントを押さえた事例とともに、投資者の目線とギャップのあるポイント・類型化した事例も拡充するようです。機関投資家から評価の高い開示優秀企業の事例を開示したり、ポイントを開示するようですね。興味深いです。

次に「投資者との円滑なコミュニケーションの促進」とあります。このあたりは上記のURLにある東証資料の4ページに詳しく書いてあります。

安定株主ゼロに向かう時代です。東証要請への真摯な取組が大事です。

色々と東証も頑張っているようですので、是非とも上場企業各社は経営トップ自身が意識をして、真摯な対応を進めることが大事です。

Twitterでも新聞記事を紹介しましたが、生損保の政策保有株式の売却は加速します。安定株主も確実にゼロに向かいますので、株価を高めないとアクティビストの恰好の対象になるほか、海外企業の突然の買収の対象になります。守ってくれる安定株主はいないので、不祥事がないにも関わらず、サラリーマン社長は社内規定の任期の途中で退任という事態が現実に起きてもおかしくない時代になる予感がします(勿論、オーナー社長も株式保有比率が低い場合にはそういうリスクもありますが)。そうならないためにも、株価の向上が何より大事です。

以上になります。ブログを読まれてお気づきのことやご質問、ご感想など何かありましたら、コメント又はnoteのトップページの一番下の「クリエイターにお問い合わせ」からご遠慮なくご連絡頂ければと思います。