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政策保有株式の縮減が一気に加速しそうですね ー では企業はどうすべきか?(過去の記事を整理しました)


(はじめに)「わが投資術 市場は誰に微笑むか」が昨日発売されました

元タワー投資顧問の運用部長であった清原達郎さんの「わが投資術 市場は誰に微笑むか」が昨日発売されましたね。清原さんは2005年に発表された最後の高額所得者名簿(長者番付)で全国トップに躍り出た投資家の方です。サラリーマン投資家と言われましたが、世の中の多くのサラリーマンとは別次元の世界の方なので、サラリーマンとは言えない気がしますが・・。

私はアマゾンで予約注文していたので、この週末に届く予定です。目次と簡単な解説がヤフーで連載されていましたが、小型割安株投資を中心に書かれているようですね。株式投資の本はあまり読んだことはないのですが(洋書が多いですが、和訳がめちゃくちゃ読みにくい印象があり)、以前に著名な米国のピーターリンチ(元フィデリティのファンドマネジャー)の有名な「株で勝つ」を何度か読んだことがありますが、ピーターリンチも長期での割安株投資だったかと思います。ただ、書かれたのが90年代ということで、いかんせん内容が少し古いので(一般の方がアナリストレポートなどを見れなかった時代であり、ネット証券もなかった時代)、今回の清原さんの書籍は楽しみです。

政策保有株式の縮減

本題です。この1週間は政策保有株式について日経新聞で大きく取り上げられていましたね。次の2つですね。

この記事を見て、個人株主・個人投資家の方も「政策保有株式=問題だな」という見方が強まったように思います。6月の定時株主総会に向けて「政策保有株式の保有方針を見直そうか」「縮減を加速せねば」と考える企業も結構多いように想像します。

このnoteでも政策保有株式については、何度か触れていますが、今回はこれまでの記事の整理を纏めてみました。過去に記事をお読みいただいた方には少しくどいかも知れませんが、基本的な解説も冒頭にちょこちょこつけておりますので、是非ご覧頂ければ幸いです。

政策保有株式は何故駄目か?企業はどうすべきか?

まず最初にこれですね。20年前には政策保有株式(持ち合い株式)は当たり前でした。大手企業の株主総会の招集通知や有報などを見ると、たいていメガバンク、取引先企業がずらっと上位の株主に並んでいました。

私は社会人になって1年目に株式関連業務を担当したのですが、多くの企業の招集通知を見ていましたが、これが普通であり、当時は直属の上司には「企業の株主構成はいかに安定株主が高いかが重要なんだ」と言われ、それが当たり前という時代でした(余談ですが、この時の上司2名の指導が非常に厳しく・・)。

けど、この数年で時代は大きく変わりましたね。政策保有株式は何故駄目なのか、以下のとおり記事に書いております。

安定株主って本当に必要なの?

政策保有株式=安定株主です。つまり、「物言わぬ株主」ですね。「物を言う株主」は会社には不要で、常に会社の経営陣に賛同してくれる「物言わぬ株主」だから安定株主なのです。

政策保有株式を縮減すると安定株主の比率が下がることを企業は懸念します。けど、企業の経営層の方はここは一度良く考える必要があります。「本当に安定株主って必要なのか?」ということです。

勿論必要な場合もあるとは思います。それは、いわゆるグリーンメイラーなど企業を買収して解体する輩が出現した場合です。けどこれは極めて例外的
なケースであり、普通に企業経営をする上は安定株主などなくて大きな問題はないのです。このあたりを次の記事で書いております。

政策保有株式を潤沢に持つ企業にどう質問したら良いか?

そうは言うものの、やはり安定株主神話をすぐに消し去るのは難しいところもあります。長年の取引慣行もあり、政策保有株式を売却したら取引が減らされかもとか、万一、敵対的買収(今の時代は「同意なき買収」ですね)の提案があった場合を考えると、会社の「仲間」である安定株主の比率を高めておきたいという企業も多いとは思います。

けど、「政策保有株式はゼロにせよ」というのが多くの資本市場関係者の考えであり、共有の認識です。縮減は待った無しです。ということで、個人投資家・個人株主も政策保有株式を潤沢に持つ企業には縮減を促すことも大事かなと思います。その場合には、政策保有株式を持つことの意義、売却することでのデメリットなどを質問することがポイントです。ざっとあげると次のようなことかと思います。

 どういう方法で取締役会では保有の合理性を検証しているのか
2 検証において社外取締役はどう意見しているのか
3 政策保有株式を保有することで企業価値がどうして向上するのか
4 削減すると企業価値向上にどういうマイナス影響が出るのか


投資ファンドが株主提案をしている企業に鳥越製粉(2009)がありますが、鳥越製粉の事例をケース・スタディーとして、以下の記事で政策保有株式の縮減を促すポイントについて触れています。

ということで以上になります。

多分、数年以内に政策保有株式は激減し、安定株主という言葉も10年後には死語になるのだと思います。「そんな言葉を聞いたこともあるな」という時代になるのだと。企業はより一層透明性の高い経営が求められますし、それが海外の機関投資家に評価され、日本企業の株価向上にプラスに寄与すると思います。