経営者計画(サクセッションプラン)は機関投資家の関心高いです
経営者計画(サクセッションプラン)とは
先日ユーチューブで面白い動画を見ました。ご存じの方も多いかと思いますが、精神科医の樺沢紫苑氏で「職場の人間関係はどうでもいい」という内容です。あかの他人の集まりである職場の人間関係などどうでも良く、仕事をする上で必要最低限のコミュニケーションがあればよく、人間関係で悩む必要はゼロというような内容です。全くもってその通りですね。私など何回か転職しているので、職場の人間関係は極めてドライな感覚しかありませんが、プロパー社員を見ると何故か人間関係で悩んでいる方も時々目にします。関心のある方は一度ご覧頂くとよいかも知れません。
さて、先日の日経新聞に次の記事がありました。
サクセッションプランとは次の経営トップの選定・育成に関する計画のことです。記事によると、日本の上場企業の多くはサクセッションプランがまだまだのようですね。昔から次の社長を決めるのは、現社長の権限であり、そのため能力っがイマイチであっても現社長のお気に入りが社長になるケースもかなり多かったのですが(同じ大学とか、昔から部下だった人とか、海外勤務で仲良かったとか)、それはダメであり、きちんとした計画に基づき選定・育成をせよということです。
何故サクセッションプランが重要か
機関投資家と対話をすると、このサクセッションプランへの関心がこの数年で非常に高くなってきている印象を受けますが、どうしてでしょうか?
それは企業の稼ぐ力を高めるのは社長の力によるところが大きく、社長が誰であるかにより企業の姿勢は大きく変化するからです。保守的な社長であれば現状維持プラスαしか期待できないが、積極的なタイプの社長であれば更なる成長が期待できるということです。機関投資家は、長期で株式投資をする上で投資の前提となる企業の現在の経営方針が今後もぶれずに成長するか、方針が転換するか、たいして成長が期待できないかを見極めたいということです。
サクセッションプランはどこで議論されるか?現社長は関与した方がよいの?
このサクセッションプランですが、指名委員会で議論されることが多いですね。つまり、社外取締役を中心とした数名の取締役で構成される会議体です。指名委員会、人材委員会といった名称で設置している企業が多いです。勿論、会社法上、設置が義務付けられている会議体ではないので、メンバー構成は自由なのですが、ここに現社長は入るべきでしょうか?
機関投資家と会話をすると現トップは委員に入れるべきではないというような意見もたまに耳にします。何故ならば、そうするとその意見に左右され、結局、社長のお気に入りで次期トップが決まるということになるという意見です。けど、私はこの考え方は違うかなと思います。
サクセションプランで社長候補の要件・定義を文書化している企業もあると思いますが、最終的に社長としてその人材が適切か否かは現社長の肌感覚によるところが大きいと思います。そもそも社外取はどこまでいっても所詮は社外の人であり、社外取だけで、次期社長を決めることは困難と思います。とは言え、社外取も企業経営経験者である場合には、社長として妥当かどうか合理的に判断する能力は極めて高いです。
ということを考えると、現社長が指名委員会の委員に入り、その上で、過半数の社外取も委員になり、そこで議論するということが大事かなと思います(もっとも社外取が弁護士、税理士、学者といったようにビジネスの素人ばかりの場合、社外取を過半数入れても意味はないと思います)。
社長の任期が終わりに近い会社はサクセッションプランについて投資家と会話をしましょう
サラリーマン社長であれば、ほとんどの会社で任期が内規で定まっているかと思います。4~6年程度が多いとどこかの官庁の事務局資料で読んだことがあります。
いずれにせよ、社長の任期が残り1~2年になった場合には、次期社長が誰になるかは機関投資家は結構気にしています。このため、企業としては機関投資家との対話において、勿論次期社長候補者の名前を出すことは出来ませんが、サクセッションプランの内容について積極的に説明をすることが必要になると思います。そうすることで機関投資家を安心させることにも繋がるように思います。