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台湾電子部品大手のヤゲオが芝浦電子(6957)に買収提案 - 「企業買収における行動指針」は企業価値向上の武器と見ることが大事


芝浦電子がヤゲオに質問状を送付

前回、ヤゲオが芝浦電子に買収提案したことを紹介しましたが(前回記事は最後に再掲しております)、芝浦電子は2/26にヤゲオに質問状を送付したことのプレスリリースを公表しました。以下になります。

結構な分量の質問項目のようですが、本公表において想定されているシナジーなどについても質問しております。項目だけをあげると次になりますが、各項目の中に合計50項目の質問になります。

◆ヤゲオのビジネスについて
◆買収で想定されているシナジーについて
◆買収のスキーム、取引条件等について

今後、ヤゲオはこれら質問に書面で回答、公表をすることになるのだと思います。

オーナー社長はやはり凄いです

2月27日の日経新聞に「同意なくともTOB」と言う見出しでヤゲオの創業者に対するインタビュー記事が掲載されていました。創業者のコメントの中で主なものを整理すると次のようなことかと思います。

  • ヤゲオが顧客を紹介すれば芝浦電子は欧米で事業拡大でき、EVやAIなどを伸ばせる

  • 芝浦電子を買収した場合、戦略はコストカット等の引き算ではなく、ともに成長を目指す足し算の戦略

ニデックも牧野フライス製作所に買収提案をしかけていますが、やはりオーナー経営者の勢いというか、自信は凄みがあると感じます。当然と言えば当然ですが、サラリーマン経営者とは見ている世界が根本的に違います。オーナー社長には任期という概念がないので、20年、30年、40年といった期間で会社の成長を見ているからです。

今回の日経新聞の創業家の記事を読むと、「企業買収における行動指針」を武器に果敢に企業価値拡大を進めていくという強い意思が感じとれます。

武器としての「企業買収における行動指針」

同意なき買収が増えると、多くの企業では買収に備えて自社をどう守るか、特別委員会を組成する場合に備えて社外取締役にレクチャーをしないといけないという思考の会社って多くないでしょうか? 買収提案があった時に備えて対応の動きを社内の関係部門や経営層で皆で認識を共有しておこうといった動きです。

でも、大事なのは、これとは逆の思考です。

「同意なき買収は、相手にも失礼なのでちょっと・・」という意識を持つ経営者が日本では圧倒的多数とは思いますが、そんな気持ちでいると海外企業に喰われてしまう気がします。日本企業は高い技術力をもっており、日本市場に魅力を感じている海外企業も多いと思います。ニデック、ヤゲオ、セブン&アイのケースを見ていて強く感じます。

同意なき買収が自社に提案された場合にどう対応すべきかという視点ではなく、同意なき買収をいかにしかけるかという視点が経営者には求められる時代になってきたと言えるのではないでしょうか。

(ご参考)前回記事






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