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2025年がはじまりました! - 今年の予測:業界再編の動き、同意なき買収の増加、機関投資家の企業に対する厳しい姿勢など


上場企業を取り巻く環境に大きな変化

2025年が始まりました。昨年は資本市場関係では色々と動きのあった1年だったかと思います。アクティビスト(物言う株主)の活動もこれまで以上に活発化しており、経産省が「企業買収における行動指針」を策定後、同意なき買収も増えています。

2023年3月末の東証の要請により株価を意識した経営に対する企業の取組みも格段に高まっています。トヨタがROE20%を2030年前後に目指すというのも大きなニュースかと思います。

そういった中、2025年に上場企業の経営に影響を与える可能性が高いと思われるトピックスをいくつかお話をしたいと思います。併せて、このnoteでの今後の取組みなども簡単に触れたいと思います。

新年最初の記事ということで少しだけ長くなりますが、ご了承下さい。

日産・ホンダの経営統合の影響

日産とホンダの経営統合に向けた協議は大きなニュースでした。統合が本格化するのはこれからですが、国内で多くの自動車メーカーがひしめきあう中、国内2位と3位の企業の統合再編のインパクトは大です。

自動車業界は大きな変動の時代を迎えています。BEV(バッテリー電気自動車)を推進する動きが広がっていますが、一方、足元はBEV一辺倒の動きに少し揺り戻しが生じています。中国ではBEVが中心ですが、米国ではHEV(ハイブリッド車)の需要が増えており、欧州でもBEVの成長が少し停滞しています。中長期で見るとBEVの方向にはありますが、短期・中期で見た場合には地域によって差異が生じています。また、中国や東南アジアでは中国のカーメーカーであるBYDの勢いが強く日本のカーメーカーはシェアを奪われつつあるなど大きな変革の時代に突入しています。こういう中、自動車メーカーは設備投資をどうやっていくかなどの大きな経営判断をしていく、大変革の真っただ中にあります。

自動車業界の大変革に加えて、日産・ホンダの経営統合により大きな影響を受ける可能性の高い業界があります。それは自動車のサプライチェーンの川上にある業界です。

ホンダと日産が統合でシナジー効果を出すには、部品調達や開発、生産の効率化を進める必要があり、部品調達の観点ではサプライヤーの納入価格に対する値下げ要請も厳しくなると思います。部品などをより安く購入するというインセンティブがこれまで以上に強く働くであろうということが容易に想像されます。基本的に車のモデルチェンジのタイミングでサプライヤーの選定はされると思いますので、これまでのカーメーカーとの取引条件はそのタイミングで見直される可能性などが考えられます。

また日産には、報道のどおりアクティビストも投資をしており、再編内容にアクティビストが口を挟む可能性もあります。アクティビストは投資先企業が企業価値をいかに高めるかに関心があり、企業価値を高めるための施策を強く企業に求めると思います。

このように経営統合に向けて具体的な検討が進むにつれ、サプライチェーンの川上業界にも色々な影響が出てくるように想像します。自動車業界に関係する業界の経営層の方々は今後の行方を注視・予測して、行動することが資本市場からも強く求められる1年になるかと思います。

国内外の企業による同意なき買収の増加

昨年はクシュタール社によるセブン&アイHDに対する同意なき買収提案が大きなニュースでした。予想はしていましたが、とうとう海外企業による買収が始まったかという感じでした。

そのような中、昨年12月末にニデックによる工作機械メーカーに対する同意なき買収提案が出ました。ニデックは少し前にTAKISAWAも同意なき買収提案で取得しています。

この同意なき買収は日本の市場に浸透し始めてきているかなと感じます。世論や機関投資家も違和感なく感じるようになっているのではないでしょうか。複数の機関投資家と対話をする中でそんな印象を受けます。

「同意なき買収提案者」は対象企業や買収企業の企業価値を向上させる目的でやっているのであり、そうである限り、当該企業に投資する機関投資家・個人投資家が賛同するのも至極当然のことではあります。

買収提案の内容も極めて合理的になっているので、買収をしかけられた企業もそれを否定するのは容易ではありません。業績が低迷し、低ROE、PBR1倍割れが続きながら、魅力的な技術力や販売網などを持つ企業に対する同意なき買収は今年も増えてくると予想します。

自社に同業から買収提案があった場合にどういう対応をすべきか(=いかなる企業価値向上施策を打ち出すか、ホワイトナイトはどうするかなど)、また、業界再編の動きに先駆けて、他社の買収に動く必要はないのかのシミュレーション(頭の体操)をしておくことが重要になってきます。

機関投資家の投資先企業に対する目線の厳格化

企業に対する資本市場、つまり機関投資家の見る目は一段と厳しくなると思います。

これまではROE5%を超えていれば、経営トップの取締役選任議案では多くの機関投資家は反対していませんでしたが、今後はこのROE基準を8%に上げてくる機関投資家も増えると思います。また、業績が低迷している企業の業界再編を希望する機関投資家も増えているように思います。さすがに伝統的な機関投資家自らが投資先企業に株主提案をすることはないでしょうけど、アクティビストの企業に対する合理的な提案には機関投資家も賛同する局面が増えます。

今年もPBR、ROE、株主資本コスト、PER、TSRの株式投資用語は頻繁に新聞でも出てくると思います。上場企業の経営者はこれらの用語をこれまで以上に強く意識をしないと、機関投資家から見放される可能性もあります。

企業活動は「収益を獲得する会社間の争い」であり、この争いに勝つには、上場企業の場合は資本市場である機関投資家を味方につける必要があります。そういう点で、機関投資家が関心の強い、先ほどの株式投資関連用語やコーポレートガバナンスに企業の経営陣はより細心の注意を払う必要があります。

今年の予定①:記事内容の充実&一部有料記事

多くのビジネスマンの方は日経新聞はじめ色々なニュースに接する機会が多いと思います。「トヨタがROE20%目指す」なども日経新聞の1面に大きく掲載されており、多くのビジネスマンは目にしていると思います。

けど、大事なのはその記事を見てその一歩先を考えることです。しかしながら、実務で担当されていない方には一歩先の理解はなかなか難しいところがあります。私も新聞でCOsはじめ環境問題の記事を見ても言葉は理解するも、当該分野には実務では深く関わっていないので、一歩先を考えるのはなかなか出来ていません。

そこで、このnoteではコーポレートガバナンス、企業再編、機関投資家の動向、IR・SRなどに焦点を当て、上場企業の経営層、実務のご担当者、必ずしもこの分野に精通していないビジネスマンの方が、忙しい中でも一歩先を考えられるような記事の読み方、ヒント、最近の動向などを内容を充実して発信していきます。

それに伴い一部有料記事の発信もしていく予定です。これまでは単なる記事の紹介や情報のお知らせのみの記事もありましたが、今後は一歩先に考えるべきことに重点を置いた記事内容としたいと思います。

勿論記事の冒頭から全文有料とする予定は今のところなく、記事の後半部分で「ここから先は有料になります」みたいな文言を付けるイメージです。全文無料の記事も引き続き継続していきますので、もし、有料記事にも関心があります場合には、是非読んで頂ければと思います。

今年の予定②:プライベート名刺&活動

昨年末にプライベート名刺を作成しました。今年は情報発信の内容の充実化を図るとともに、実際に色々な方ともお会いしたいなと考えております。特に以下のような仕事をされている方などを中心に意見交換が出来ればと思っております。

  • IR・SRコンサルタント、コーポレートガバナンスに関わる弁護士・公認会計士など専門家の方

  • 機関投資家の方

  • 上場企業で企業価値向上(中期経営計画策定など)やIRなどの資本市場に絡む業務をしている方

  • 将来、上場を目指している未上場企業の経営層や実務ご担当の方

  • 上場企業でサステナビリティ業務のご担当者の方

  • コーポレートガバナンスを勉強したいと思っている個人投資家の方

  • 日本・西洋美術について造詣の深い方又は関心の高い方 など

最後の「日本・西洋美術について造詣の深い方又は関心の高い方」はこのnoteでの発信内容と全く関連性がないですが、この分野は、私自身が今年1年で勉強したいと考えている趣味の分野です。とは言え、現時点では知識が非常に乏しいため、一から勉強をしたいと考えています。

ということで、何かありましたら、お気軽にご連絡頂ければと思います。

ご連絡の際には、noteのトップページの一番下の右側にある「クリエイターへのお問合せ」または次に記載のX(旧Twitter)よりお気軽にご連絡頂ければ幸いです。

今年の予定③:X(旧Twitter)での情報発信の継続

このnoteでの情発信に加えてX(Twitter)でも2年前から情報発信をしております。

基本的にはこのnoteで書いた記事をXでも紹介しているほか、Xでは新聞記事や経済情報、株式投資関係情報などもちょこちょこ紹介したり、コメントをつけて発信しています。noteで記事にするまでの情報ではないけど、興味深いなと思った情報などです。

こちらもご関心のある方はフォローして頂けると幸いです。X(twitter)のURLは以下になります。

https://x.com/p7k1qo6OEKdewU2

少し長くなりましたが、以上になります。本年もどうか宜しくお願いいたします。

(ご参考)自己紹介

noteのプロフィールにも書いておりますが、自己紹介の記事もリンクを貼らせて頂きます。以下です↓



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