「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会 ー 「企業が抱える主な課題の解決策」
「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会
9月17日に経済産業省が「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会を立上げました。
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/earning_power/pdf/001_03_00.pdf
趣旨の一部を抜粋します。
本日開催の第1回会議資料によれば、日本の企業には以下の課題があると記載されています。
ROE、PERともに欧米企業と比べて未だ低水準
日本企業の主要製品の市場占有率が過去5年で低下
企業成長の源泉となる投資(有形・無形)がここ10年で横ばい
日本企業における売上高に占める低収益セグメント事業の割合が欧米に比べて高い
CGコードのコンプライ率が高いが、十分に検討されていない可能あり
企業が抱える主な課題の解決策
では、この研究会で具体的課題をどう解決していくかですが、第1回会議の事務局資料の46ページに次の記載があります。
色々と多岐に亘るようですが、社外取締役の質のところが興味深いですね。社外取締役が些末なところまで指摘してきたり、経営トップのリスクテイクを抑制してしまうという問題も企業によってはあるようです。事業のことを分からないがゆえに、やたら細かいところばかり指摘したり、リスクにあまりに過敏になり、社外取締役がやたら小さいことに口出しをするケースが見られるということだと思います。社外取締役の質が低いということですね。
あと、社長・CEOの再任・不再任の仕組みの未構築もありますね。多くの企業では、CEOなどは社内任期まで務めるのが当たり前となっており、会社法上の任期である1年毎にきちんと適格性が審議されていないのではないかという点ですね。
これは機関投資家もよく指摘することであり、今後も引き続きホットな話題になるでしょう。常務、専務、社長などは役職に応じた社内任期が決まっていますが(勿論会社によります)、部課長や執行役員といった普通のサラリーマンと異なり、会社との間は委任関係に立つので、受任者としての会社経営の能力が欠けていないかどうか1年毎にきちんと審査して、稼ぐ能力がないのであれば再任するなということですね。もっともな指摘かと思います。
指名委員会の位置付けも議論されるようです
興味深いのは、指名委員会等設置会社における指名委員会の役割も議論されるようです。現行法上、指名委員会等設置会社の指名・報酬の決定権限は、それぞれ指名委員会/報酬委員会に帰属し、取締役会はその決定を覆すことはできませんが、それで良いのか?ということです。
有識者による指摘として次の説明が事務局資料にあります。
社外取締役が多数いる会社において、限定された指名委員会のメンバーだけで果たして適切に経営陣が選任できるのかということかと思います。指名委員会の決定を取締役会は覆せないと思いますが、社外取締役がそれなりの員数いるのであれば、指名委員会ではなく取締役会で選定すべきではないかということです。
今後の予定
月1回程度開催し検討を行うようです。検討結果についてはコーポレートガバナンス改革の在り方に関する取りまとめを来年3月を目途に行うとなっています。来年の株主総会の話題の1つになりますね。
本日の会議の議事要旨は後日公表されるようですが、引き続き、ウォッチしして、今後も適時ポイントを説明したいと思います。
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