議決権行使助言会社のISSがグローバルリサーチの結果を公表
昨日は仕事上の必要に迫られ、ひらすら機械・半導体セクターの2Q決算情報を整理していました。来週はプライベートでの株式投資の関係でゼネコン各社の決算情報を整理する1週間となる予定です。アクティビストの影響もありゼネコン各社の株価は高いですね。
さて、来年の株主総会に向けてそろそろ検討を開始する企業もあるかと思いますが、総会での経営トップの取締役選任に関して注意が必要な事項を本日は紹介したいと思います。
議決権行使助言会社の最大手のISSですが、10月31日に次のとおり「2 0 2 3 I S S G l o b a l B e n c h m a r k P o l i c y S u r v e y」を公表しました。
https://www.issgovernance.com/file/policy/2023/2023-ISS-Benchmark-Survey-Summary.pdf
ISSは2020年6月から経営トップの選任でのROE5%基準を本年まで停止しています。つまり、過去5期の平均ROEが5%を下回る企業の経営トップの取締役選任議案には反対推奨するという方針があるわけですが、これがこの数年間は、コロナの影響で業績の悪い企業が多いため適用が停止されてきました。「助かる!」という企業も多いかと思います。
ROE5%基準は復活する可能性が高い?
ROE5%未満が続く企業は、この適用がいつ復活するのか関心が高いところかと思いますが、今回の上記のリサーチ結果の中で、このROE基準の復活の是非について、機関投資家などに意見聴取をした結果が英語で次のとおり掲載されています。
黒字がポイントですが、要するに機関投資家の多くが復活を希望しており、機関投資家以外の関係者の6割もそれに賛同しているということです。
今回はサーベイ結果であり、復活が確定した訳ではないと思いますが、恐らく今回の調査結果の意見を反映した形で議決権行使ポリシーの改定がなされるかと思います。
外国人株主比率の高い低ROE企業は要注意です
ROE基準が復活した場合、ROE5%未満が続く、外国人株主(=海外機関投資家)比率の高い企業は注意を払う必要が「大」です。
何故なら、海外機関投資家の多くはISSの賛否推奨結果を採用するところが多いので、「ISSが反対推奨=海外投資家は議決権行使で社長に反対」ということになるからです。これって結構、大きなリスクです。最悪、社長が選任されない可能性もあるわけですから。
企業は、海外機関投資家とのエンゲージメントを強化して、ROEが低迷する現状において、将来の成長戦略を丁寧に説明して、少しでも賛成行使してくれるよう努力することが必要になります。