キャッシュ(現金)の使途を投資先企業に質問してはいかがでしょうか? ー まずはキャッシュが多いかどうかの確認をしましょう

日経新聞で「投資家と向き合う経営」ということで記事が連載されています。筆者はどこかの大学の先生のようです。上場企業でIR、財務やコーポレートガバナンス関連業務をされている方には、かなり基本的な内容の記事ですので、読み飛ばしている方も多いとは思いますが、一方で、個人株主の方には勉強になる記事であるように思います。8月17日には次の記事でした。

キャッシュを日本企業は潤沢にため込んでいるということが以前から言われていました。この数年、コロナで倒産する企業も増え、キャッシュの重要性がまた認識されてきているような印象を私は持っています。では、個人株主の方は、投資先企業のキャッシュの使途を確認されていますでしょうか?プロであるアクティビストがまず投資先企業の財務で最初に見る箇所の1つがこのキャッシュです。それだけ大事ということです。

まず、キャッシュが多いか少ないかが最初に見るべき点です。キャッシュを見るのであれば、投資先企業のキャッシュフロー計算書の現金及び現金同等物の金額を確認します。これがキャッシュです。仮に500億円あるとしましょう。この企業の総資産を1000億円とします。では、これで「おー。沢山のキャッシュを抱えているわ!」となりますでしょうか?

企業は通常、借金、つまり有利子負債があります。この有利子負債をキャッシュから引く必要があります。有利子負債をひいたキャッシュをネットキャッシュといいます。この企業が200億円の有利子負債があるとします。すると、ネットキャッシュは300億円ということになります。個人の家計と同様で、いくら金を持っていても、借金があれば、それをさっぴいて金があるか否かを判断することになるということですね。

ここでこの企業のキャッシュが多いかどうかを判断しますが、一般的に考えて、総資産の30%(300億円÷1000億円)のキャッシュがある場合には、潤沢にキャッシュがあると言ってよいと思います。ここではじめて、この潤沢なキャッシュの使途の話に入ることになりますが、長くなるので解説の続きは次回にいたします。