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持続的な企業価値向上に関する懇談会の中間報告ー 5つの課題と今後の論点が公表


座長としての中間報告

株主総会シーズンも終わり、コーポレートガバナンス関係の情報整理を始めました。前にTwitterでも少し紹介をしておりましたが、6月に持続的な企業価値向上に関する懇談会が中間報告を公表しています。以下のとおりです。

https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/improving_corporate_value/pdf/20240626_1.pdf

「座長として」という聞きなれない枕言葉がついていますが、この辺りのお作法は私は良く分かりませんが、要は中間報告ということですね。ちなみに、この懇談会については前に以下の記事を書いております。

今回の中間報告では、伊藤レポート公表後に企業のコーポレートガバナンス改革が進んできたが、依然として ROE、PBR 等のパフォーマンス指標を見る限りにおいては、米国・欧州企業と比較して差があり、この課題を整理するということのようです。「不都合な真実」として次の記載があります。

このような背景の下、この 10 年間、日本企業においては、社外取締役の数の増加、政策保有株式の縮減、親子上場の数の減少、買収防衛策の廃止、情報開示の拡大など、目に見える形で 変化があった。また、ROE や ROIC などを重要業績評価指標に取り入れるなど、資本効率の重要 性の意識も経営者に浸透し、裾野が広がってきた。こうした日本企業の変革については、様々 な統計調査などでも見て取れる。伊藤レポートが一定の評価を得て、こうした動きにつながっ たとする評価は、企業・投資家・有識者などの見解としても特段の異論はないだろう。 しかし、変化・変革の歩みを止めるわけにはいかない。この10年間の日本企業のパフォーマ ンスの伸びを見てみると、企業価値の向上を実現した企業は一部にとどまり、依然として、 ROE、PBR 等のパフォーマンス指標を見る限りにおいては、米国・欧州企業と比較して差があるのが実情である。この10年間、日本企業は様々な企業変革を行ってきたにもかかわらず、その 間、企業価値に関するパフォーマンス指標が十分に向上しなかったのはなぜか。これが本懇談会の立ち上げの背景・問題意識である。

5つの改題&今後の論点

今回の中間報告では5つの課題と今後の論点について紹介されています。コピー&ペーストになりますが、以下紹介します。

課題①:企業価値に対する企業と投資家との間の認識のずれ

  • 企業価値を高めることの意義の再確認

課題②:長期視点の経営の重要性

  • 企業が置かれているポジションによる優先課題や処方箋の違い

  • 社会のサステナビリティも踏まえた、長期視点の経営による将来の成長期待(PER) の向上(企業情報開示のあり方も含む)

  •  中期経営計画のあり方の再考 など

課題③:経営チーム体制の強化の重要性

  • CFO・FP&A、CHRO・HRBP 機能の強化

  • 経営者人材の育成に向けた取組の加速など

課題④:取締役会の実効性の強化

  • 取締役会の役割の明確化

  • 経営者の選解任等の機能の強化

  • 社外取締役の実効性の強化(選任方法の検 証、投資家との対話・エンゲージメントの 充実、社外取締役の質の向上等) 

課題⑤:資本市場の活性化

  • 次世代を担うアセットマネージャーの人材確保・育成

  • アセットオーナーの投資運用力を含む専門能力の強化

  • 政策保有株式の更なる低減や資本市場への説明のあり方

  • 企業情報開示の質の向上

  • 企業間の競争を促すための株価指数の運用 改善 など

項目だけを読んで理解できる方もいらっしゃるかも知れませんが、中間報告の資料を一度全体を読まれると理解が深まると思います。