東証のコーポレートガバナンスに関する来年の動き ー 年明け1月の企業名の公表は個人投資家の投資の参考材料になるように思います
東証のコーポレートガバナンス改革はアクティビストの行動の原動力
今年も残すところあとわずかです。先日購入した「日本半導体復権への道」(ちくま新書)を読み始めました。3年前の本になりますが、世界の半導体の国際競争などについて、日立製作所の元専務がビジネスの観点から書かれています。明日は終日出張のため新幹線の中で一気に読み進める予定です。
さて、数日前の日経新聞に次の記事がありました。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO77182140S3A221C2TCT000/
「東証がアクティビストに」ということで全くその通りかと思います。
ここ1年の東証のコーポレートガバナンス改革の動きはアクティビストの行動の原動力となっています。東証の株価を意識した経営の情報開示の要請は結構驚きでした。
これまで3年毎に改訂がされてきたコーポレートガバナンス・コードは今回は改訂はありません。今回改訂しないのは、これまでの金融庁や東証の要請に対する企業の動きを一旦見ていくということが背景にあったかと理解しています。来年か再来年になるか分かりませんが、今後しかるべきタイミングでコーポレートガバナンス・コード改訂の動きも再開するのだろうと思います。
来年の東証の動きで注視すべき事項は。個人投資家はここに注視しましょう!
来年はいくつか動きがあります。東証の市場区分の見直しに関するフォローアップ会議の次の資料が良く整理されています。
https://www.jpx.co.jp/equities/follow-up/nlsgeu000006gevo-att/bkk2ed0000004de9.pdf
2ページ目に来年の検討事項として以下の内容が記載されています。
資本コストや株価を意識した経営の推進
投資者との対話の実効性向上
グロース市場の機能発揮
英⽂開⽰の更なる拡充
企業⾏動規範の総点検
この中で、企業にとって、緊急性があり関心が高いのは「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた経営の推進」かと思います。年明け1月のたしか中旬頃に株価を意識した経営の施策の対応開示をしている企業名の公表が行われるかと思います。
これは個人投資家にとっても重要です。企業の株価向上施策の考えが把握できるからです。他社例に倣った形式的な開示か、それとも一歩踏み込んだ具体的な開示となっているかで株価向上に対する企業の取り組み姿勢が分かります。
PBR=ROE×PERですが、ROE向上施策についても単に「利益率XX%を目指します」というだけの開示であれば、その本気度は微妙な印象を受けます。
一方、ROEを利益率、総資産回転率、財務レバレッジまでブレイクダウンして各施策の取り組み(内容と時期)を示し、さらにPER向上のための成長ストーリーまで開示している企業であれば、株価向上に向けた本気度を感じます。個人的な意見になりますが、そういう充実した開示をしている銘柄は株価向上が期待できるように思います。
年明けは仕事が結構慌ただしいのですが、昼休みと日中の暇な時間を見つけて、多くの企業の開示を見て行きたいと思っています。