「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会 - 第3回会議(11/21)の議論ポイント ~ バーチャルオンリー株主総会、株主総会の在り方など
本研究会のポイント - 全体構成
第3回会議が11月21日に開催されました。例によって事務局資料が経産省のホームページに掲載されています。以下になります。
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/earning_power/pdf/003_03_00.pdf
事務局資料にこの検討会での論点の全体図が次のとおり掲載されています。分かりやすいです。
株主総会に関する見直し、会社と株主の関係に関する見直し(総会以外)、機関設計制度の見直し、その他の企業の成長戦略の実現に向けた諸制度の見直しの4つですね。
第3回会議での検討事項
今回の第3回会議も前回に続いて会社法改正に関連しての議論が中心になります。上記に掲載した資料の赤字が議論アジェンダで次のとおりです。
◆バーチャルオンリー株主総会
◆社債権者集会のバーチャル化
◆書面決議制度
◆キャッシュ・アウト制度
◆事業報告等と有価証券報告書の一体開示
◆株主総会の在り方
ここも事務局資料のP11に詳しく整理されています。
この中で、多くの企業で総じて関心が高いと思われる項目は、バーチャルオンリー株主総会、株主総会の在り方あたりでしょうか。この2点について事務局資料の該当箇所を紹介して、少し補足したいと思います。
バーチャルオンリー株主総会
これに関して第3回会議での討議アジェンダは以下になります。
バーチャルオンリー株主総会を開催した企業は67社のようです。ハードルとしては、通信障害のリスクや、通信システムの整備の負荷、デジタルデバイドの株主への配慮の負荷を指摘する企業が多いようですね。
バーチャル総会ですと、個人株主の方はオンラインで参加できるメリットがあり、私はバーチャルを活用したいのですが、なかには会場に行って直接、議長に質問をしたいという株主の方もいると思います。そういう点では、ハイブリッド型を希望する方が個人では多いかも知れません。
株主総会の在り方
これに関して第3回会議での討議アジェンダは以下になります。
会議体としての株主総会の実質的な意義として、会社法が本来想定していた「決議に向けた審議の場」としての意義のほか、「信認の場・確認の場」としての意義や「対話の場・情報提 供の場」としての意義もあり、これらについて次のようにA案~C案について議論されたようです。
現実の総会実務としては、オーケーによる関西スーパー争奪のような例外的な場合を除いて、総会前には議案の賛成は確定しているので、決議に向けた審議の場というよりも、個人株主が経営陣と対話をする場との要素を強めてもよいように思います。例えば、取締役の説明範囲を広げるなど、IR対話的な要素を盛り込む感じなど。ただ、この点も個人によって意見が色々とあるところだとは思います。
その他-長期保有株主の優遇
その他の論点の1つとして長期保有の優遇がありました。細かい資料はないのですが、参考として欧州における優遇制度の紹介が事務局資料にあります。
欧州では議決数を2倍にする優先株のようなものが発行可能なのですね。どの程度の数の企業が採用しているか分かりませんし、日本の会社法での導入には色々とハードルもありそうそうです。