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ビジネスマンのためのさくっと分かるコーポレートガバナンス - コーポレートガバナンス・コードは5つの項目で構成されています


本日の記事のポイント

本日からコーポレートガバナンス・コードの原則の中、大事な点を解説したいと思います。

多くのビジネスマンにとってコーポレートガバナンス・コードは必ずしも馴染みのあるものではないと思います。特に営業一筋、技術一筋といった方にとっては「何それ???」だと思います。これは仕方のないことです。

けど、将来、上場企業で経営企画担当役員や管理部門を総括する役員になろうとしている方、さらには社長になるような方には理解は必須になります。また、そうでなくても新聞にはコーポレートガバナンスに関する記事が頻繁に掲載されており、多くのビジネスマンも最低限の理解は必要かなと思います。

そこで、今回からコーポレートガバナンス・コードに馴染みにないビジネスマンの方向けに、新聞でも良く目にする事項を中心にポイントを絞ってコーポレートガバナンス・コードに関して解説をしたいと思います。記事を読んで何かご質問などあれば、ご遠慮なくご質問を頂ければと思いいます。

コーポレートガバナンス・コードの5つの項目

以前にコーポレートガバナンス・コードの原案について以下のとおり記事を投稿いたしました。

その後、コーポレートガバナンス・コードの続きを掲載するのをすっかり失念しておりました。まず、コーポレートガバナンス・コードは5つ項目で構成されています。

コーポレートガバナンス・コードhttps://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/tvdivq0000008jdy-att/nlsgeu000005lnul.pdf

第1章 株主の権利・平等性の確保
第2章 株主以外のステークホルダーとの適切な協働
第3章 適切な情報開示と透明性の確保
第4章 取締役会等の責務
第5章 株主との対話

上記5つがベースとなる項目です。5つの各項目の規定について紹介するとともに、事業会社の実務においてポイントになる箇所、つまりビジネスマンとして知っておくべきと思われる点に焦点を絞り解説をしたいと思います。複数回の連載となります。

第1章 株主の権利・平等性の確保

まずは第1章ですが、次のとおり規定されています。

「上場会社は、株主の権利が実質的に確保されるよう適切な対応を行うとともに、株主がその権利を適切に行使することができる環境の整備を行うべきである。 また、上場会社は、株主の実質的な平等性を確保すべきである。少数株主や外国人株主については、株主の権利の実質的な確保、権利行使に係る環境や実質的な平等性の確保に課題や懸念が生じやすい面 があることから、十分に配慮を行うべきである。」

企業には多くのステークホルダーがいますが、株主をステークホルダーの起点に置き、株主の権利行使の環境整備、権利行使の機会を配慮することが企業には求められています。会社法上、株主平等の原則があるので当然と言えば当然なのですが、それでも少数株主や外国人株主は事実上、不平等な扱いを受けることも多いので、しっかり環境を整えよということです。

原則としては、次のことが規定されていいます。

原則1-1.株主の権利の確保
原則1-2.株主総会における権利行使
原則1-3.資本政策の基本的な方針
原則1-4.政策保有株式
原則1-5.いわゆる買収防衛策
原則1-6.株主の利益を害する可能性のある資本政策
原則1-7.関連当事者間の取引

いずれも大事ですが、その中でも、新聞でもホットな話題であり、企業でも重要な話題になっているのは原則1-4の政策保有株式ですね。

ポイント:原則1-4政策保有株式 -  “四の五の言わずにさっさと売却せよ”

原則1-4の政策保有株式の規定は次のとおりです。

上場会社が政策保有株式として上場株式を保有する場合には、政策保有株式の縮減に関する方針・考え方など、政策保有に関する方針を開示すべきである。また、毎年、取締役会で、個別の政策保有株式について、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し、保有の適否を検証するとともに、そうした検証の内容について開示すべきである。 上場会社は、政策保有株式に係る議決権の行使について、適切な対応を確保するための具体的な基準を策定・開示し、その基準に沿った対応を行うべきである。」

色々と書いてありますが、要約するとポイントは2点です。①政策保有株式は四の五の言わずにさっさと売却せよ ②仮に保有するとしてもその保有銘柄の株主総会の議案の議決権行使はきちんと判断して賛成票を投じ、反対すべき議案には反対せよということです。

「①のことは明確に書いていないのでは?」と疑問を持たれる方もいると思います。たしかに、規定を読むとそうは書いてはいないのですが、資本市場関係者は「政策保有株式=問題」と見るのが常識ですので、企業は保有ゼロにすべきというのが今の状況です。

政策保有株式を縮減すると会社にとって安定株主が減ることになるので、「大変だ」とワーワー騒ぐ経営者もいると思います。けど、このあたりは、実は心配する必要はないことは前にも何度か記事で書いているとおりです。