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機関投資家の議決権行使基準 - 三井住友トラスト・アセットマネジメント

三井住友トラストAMの取締役選任議案

これまで機関投資家の議決権行使基準として、野村アセットマネジメント、アセットマネジメントOneについて紹介しましたが、本日はこの続きになります。三井住友トラストAMです。23 年12 月改定、24 年1 月適用の「責任ある機関投資家としての 議決権行使(国内株式)の考え方」で以下になります。
https://www.smtam.jp/file/62/votinggl_dom.pdf

ROE基準

取締役選任議案におけるROE業績基準として、「3期連続で業績(ROE)基準を満たさない場合、3年以上在任の取締役選任に反対」とあります。そして、ROE基準はROEがTOPIX構成銘柄全体の上位75%タイル水準以上となっています。但し、例外基準として次の3つがあります。

  • 基準未達の要因が、経営者要因でない場合(不測の天災の発生など)、または将来の企業価値向上に向けた構造改革費用等の計上によるものと判断される場合は賛成

  • 過去の業績推移や今後の事業計画等から基準達成の蓋然性が高いと判断される場合は賛成

  • エンゲージメント等を通じて、株主価値向上に向けた積極的な取り組みが確認できた場合は賛成

黒字を付した2つがポイントですね。

要は、ROEの数値基準では抵触しても企業と対話などをした結果を踏まえ、例外的に賛成する場合もあるということです。多くの機関投資家も同様の判断をしていると思います。そして、これを判断するのはその企業のセクターアナリストであることが多いと思います。

従って、ROE基準に抵触する企業はこれからの2Q決算以降、将来の業績改善についてアナリストに期待を抱かせるような決算説明会資料の記載の充実、決算説明会(ラージミーティング)での説得的な説明、個別投資家との対話での説明の3つがポイントになります。これって結構大事です。

株価基準

ROE基準以外にも株価基準があり、「3年度連続で株価基準を満たさない場合、3年以上在任の取締役選任に反対」となっています。株価水準とは当該年度の株価パフォーマンスがTOPIX構成銘柄全体の上位75%タイル水準以上となっています。

この場合も例外基準があり、「基準未達の要因が、経営者要因でない場合(不測の天災の発生など) は賛成」となっています。けど、天災地変等の例外的な場合に限定されるので、これに該当して救済される企業は極めて少ないかなと思います。

ROE基準では例外を認める場合があるが、株価基準は例外はほぼないということです。要するに株価低迷が3年も続くことは許さんということです。

三井住友トラストAMの特徴

前回紹介をしたアセットマネジメントOneと同じで、明確にROE5%等の数値基準を設定しておらず、相対的なROE等の順位で判断している点ですね。来年の総会の議決権行使基準の改定はこれからだと思いますが、この相対基準がより厳しくなるのかなどがポイントです。

本日は以上になります。記事を読まれてお気づきのことやご質問、ご感想など何かありましたら、コメント又はnoteのトップページの一番下の「クリエイターにお問い合わせ」からお気軽にご連絡を頂ければと思います