個人投資家が企業に株価を意識した経営を促す上での視点 ー 「機関投資家協働対話フォーラム」のレターが結構参考になります!
機関投資家協働対話フォーラムのレター
「機関投資家協働対話フォーラム」という団体はご存じでしょうか?複数の機関投資家による企業との協働対話(協働エンゲージメント)を行う団体です。三井住友DSアセットマネジメント、三井住友トラスト・アセットマネジ メント、三菱UFJ信託銀行等の大手機関投資家が参画しています。
この機関投資家協働対話フォーラムですが、10月3日に資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた投資家との対話のお願いということで次のレターを公表しています。
https://www.iicef.jp/pdf/jp/pdf_jp_20231003.pdf?20231003
過去には、買収防衛策の廃止、政策保有株式の縮減等の低減のレターを企業に送付しており、私も仕事で過去にレターを受けとったこともあります。
今回のレターでは、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた適切な情報開示や参加投資家との協働対話をお願いしていますが、ここで記載されている視点は、個人投資家の方にとても参考になるかなと思います。
個人投資家の方もこのレターに記載の事項を参考にすれば、投資先企業に機関投資家と同じ視点で質問が出来るからです。
今回、フォーラムが企業価値評価の項目として大きく3つをあげています。「収益性」「成長性」「資本コスト」の3つです。そして、各項目の具体的な内容を整理すると次の内容になります。
個人投資家は企業にどんどん質問しましょう
特に大事だなと思う箇所は、私が太字を付しました。このあたりがポイントになるかなと思います。上記のような各事項の取り組みを説明し、機関投資家に実効性と実現可能性に確信をもってもらうことが、IR活動の基本とレターでは言っています。ということですので、個人投資家の方も投資先企業に上記事項について確信が持てるまで質問すると良いかと思います。
ただし、やみくもに質問することは「NO」です。「この株主は素人だな」と企業に確実になめられます。それを避けるためには、自分で確認することが大事です。
では「何を見て確認すればよいの?」となりますが、見るべき資料は、基本的に企業の決算説明会資料と統合報告書の2つです。「有価証券補報告書は見る必要ないの?」という疑問を持たれる方もいるかと思いますが、有価証券報告書には記載されていないと思います。というのも有価証券報告書は法定開示書類であり、企業は形式的なことしか記載するインセンティブしかないのです。つまり、大胆な開示には躊躇するのであり、面白くない資料なのです。
ということで、企業の決算説明会資料と統合報告書を見て、上記各事項が開示されているか否かを確認した上で、企業に質問するという姿勢が個人投資家・個人株主には重要です。