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損保は政策保有株式ゼロへ邁進 ー 上場株式は明確な期限を定めてゼロに

損保は政策保有株式を新規に保有せず

数日前の日経新聞で次の記事がありました。

日本損害保険協会は取引先との関係強化を目的に保有する政策株式に関するガイドライン(指針)をまとめ、新規に保有しないと申し合わせるとともに、政策株から純投資への安易な切り替えを制限する内容を盛り込んだようです。

政策保有株式に係るガイドライン

政策保有株式に係るガイドラインは次のとおりです。

https://www.sonpo.or.jp/about/pdf/seisaku_guideline.pdf

私ははじめて目にしたのですが、政策保有株式の保有は行わないことが規定されているのですね。今後、縮減が一気に加速します。「政策保有株式等に係る基本的な考え方」として以下の記載があります。

政策保有株式に係るガイドライン

特に上場株式については、明確な期限を定めて保有をゼロにする方針を定めるようです。上場企業の安定株主から損保がいなくなる日も近いですが、次なる課題の業界は生保ですね。

生保は、例えば日本生命などは一見すると厳格な議決権行使基準を規定しており、ROE未達企業には積極的に対話を求めていると思います。以下の記事が以前にありました。

ROE5%未満が継続する企業には日本生命などから対話を求めるケースも増えており、実際に本年の4月~6月の期間の株主総会での日本生命の議決権行使結果を見ると次のとおり、反対の議案数もあります。
kekka202404_202406.pdf (nissay.co.jp)

けど、会社提案の3603議案のうち、反対したのはわずかに43議案と極めて数が少ないです。機関投資家の企業に対する議決権行使に比べるとだいぶ緩いのが現実です。

企業は生保から対話の申し出があった場合、ROEが低い理由と今後の挽回策について、ひとまずそれなりの理由をつけて生保のスチュワードシップ部門の担当者に説明しておけば、生保が議案に反対するようなケースは現状は極めて少ないと言えます。つまり、見方を変えれば従前と変わらず生保は企業の安定株主として存在しているのが実態だと思います。

けど、メガバンク、損保が政策保有株式の売却を加速させる中にあって、生保も政策保有株式を保有継続できる時代ではなくなるのだと思います。
生保が大株主に存在する企業は、近い将来、生保も確実に安定株主でなくなるということを念頭においた方がよいかと思います。「生保が株式を売却するようだ」となってバタバタと慌てないため、生保もいずれで売却するであろうとの前提で自社の株主構成をしっかりと考えておくことが大事です。

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