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「株価を意識した経営」が出来ない場合には「配当を意識した経営」が上場企業には求められます ー 安定配当は時代遅れになります

本日は在宅勤務です。各社の2Q決算に向けた四季報等での銘柄チェックをしつつ(勿論これがメインではありませんが・・)、来週からの業務のインプット、業務関連のオンラインセミナー視聴といった作業の予定です。

さて、先日の日経新聞で次の記事がありました。
https://www.nikkei.com/nkd/industry/article/?DisplayType=1&n_m_code=092&ng=DGKKZO74773160W3A920C2DTA000
企業の配当基準が多様化してきているということです。数年前から似たようなことが一部言われていましたが、配当について今回は触れたいと思います。

配当というと、企業の開示資料を見ると「安定配当」という言葉を良く目にするかと思います。つまり、「1株当たりXX円」を継続することです。当期純利益が100億円であろうが70億円であろうが「1株当たりXX円」と固定させている企業は多いですよね。

けど、これって投資家の立場から見ると「何故?」「おかしいのでは?」というのが自然の考えかと思います。私も20代の頃、IR部門で株主総会の招集通知を作成する際、「当社は何で毎年配当金額って同じなのかな?」と思ったものです。

配当って会社が儲けたキャッシュについて、設備投資資金、運転資金、内部留保(将来のリスクに備えて)などをして残った分を株主に還元するのです。儲けが大きければ、設備投資等の金額も増えるかも知れませんが、還元できるキャッシュも増えるはずです。

では、何故企業は安定配当にこだわるのでしょうか?
理由の1つは減配のリスクです。減配をすると株価が大きく下がるからです。今期は1株当たり40円であったのが、来期は30円となると株価は下がります。これを嫌がる企業サイドの気持ちは良く分かります。

けど、問題なのは、株価が低い企業も安定配当を続けている場合です。ここで考えるべきはTSR(Total shareholder return)の視点です。日本語でいうと株主総利回りです。次の式で算出されます。

TSR=(株価の上昇額+1株当たり配当額) ÷ 当初株価(%)

株価の上昇額とは、一定の評価期間をとった場合の評価終了時の株価-評価開始時株価(当初株価)をいいます。具体的な数値をあげた方が分かりやすいかと思います。

2022年6月にある会社の株式を1,000円で取得して、2023年6月に1,300円に株価が上昇し、この間に1株当たり50円の配当が1回あったとします。この場合の2023年6月時点におけるTSRは、次のとおりになります。

TSR=((1,300円-1,000円)+50円)÷1,000円=35%

ここから言えるのは、トータルリターンを一定に保つとした場合、株価の値上がりがない場合には、配当を増やす必要があるのです。PBR1倍割れの企業などは株価が全然上昇していないため、株主は株価の値上がり益が得られないわけです。ということであれば、TSRの観点から企業は配当を頑張ることが必要なのです。

個人投資家、個人株主の方は、①投資先企業の株価と配当を見て、いくつかの年度(1年、3年、5年など)でTSRを算出 ②次に競合企業又は同じセクターの類似企業のTSRを算出(1年、3年、5年)③結果、自社の投資先企業のTSRが見劣りする場合、投資先企業に増配要求をすることは合理的かなと思います。

株価を意識した経営がプライム企業・スタンダード企業には求められる時代ですので、株価を意識した経営が出来ないのであれば、配当を意識した経営が必要ということです。