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ビジネスマンのためのさくっと分かるコーポレートガバナンス - 大日本印刷が 政策保有株式の縮減を純資産の10%未満を目指す。政策保有株式の縮減の目安は?


大日本印刷が政策保有株式を縮減

先日の日経新聞で次のとおり大日本印刷が政策保有株式の縮減を進める旨の記事がありました。

政策保有株式は純資産の10%まで縮減するということです。記事によればみなし保有株式を含む政策保有株式を純資産の10%未満まで縮減するということのようです。

大日本印刷は政策保有株式をどの程度保有しているのでしょうか?同社の2024年3月記の有価証券報告書に純投資目的以外の投資株式ということで次の開示があります。

・非上場株式      111銘柄(  5,676百万円)
・非上場株式以外の株式  96銘柄(276,403百万円)

これ以外にみなし保有株式もあります。結構な数の政策保有株式を持っていますね。
この政策保有株式を純資産の10%を下回るまで縮減する方針のようですが、この10%というのは何か意味があるのでしょうか?15%では駄目なのか?ということです。単にキリが良いから10%にしたのでしょうか?

政策保有株式の縮減の目安は?

結論からいいますと議決権行使助言会社の経営トップへ反対する基準を念頭に置いているのかなと思います。

議決権行使助言会社と言えば、ISS社とグラスルイス社の2つがあります。この2社の名前は株主総会シーズンであったり、アクティビストが株主提案をした時に「ISS社は反対推奨した」などが必ず新聞報道されるので、ビジネスマンの方は覚えておいた方がよいかと思います。覚えるべきポイントは次のとおりです。

・ISS社とグラスルイス社の2つでガリバーはISS社
・自らは株式を保有せずに、企業の株主総会の議案に賛否推奨を判断
・それを海外投資家が採用して、投資先企業の総会議案の賛否行使

このあたりは以前に記事を書いておりますので、最後に再掲しております。

ISS社は、純資産の20%を超える政策保有株式を有する場合には経営トップに反対推奨する方針であり、一方のグラスルイス社は、純資産の10%を超えると同じく経営トップに反対推奨となっています。おそらく大日本印刷はグラスルイス社の10%を意識して、最低でも10%を切るまでは縮減を進めようという方針なのだと思います。ちなみに、日本の機関投資家の多くは20%を超えると「政策保有株式を持ち過ぎだよね」という感覚でいると思うので、10%未満というのは許容レベルとは思います。
とは言え、基本的には政策保有株式はゼロにすべきというのは、多くの機関投資家の考えではありますが。

ということで、本日は政策保有株式の縮減の記事の簡単な解説をいたしました。本日の記事の内容で何かお気づきのこと、ご質問、ご感想など何かありましたら、コメント又はnoteのトップページの一番下の「クリエイターにお問い合わせ」からご遠慮なくご連絡頂ければと思います。

(以前の掲載記事)議決権行使助言会社とは?

23年9月に議決権行使助言会社とは何ぞやということで記事を投稿しておりますので、ご参考までに再掲いたします。


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