小吉の君と大凶の僕。
僕の名前は渡邉〇〇
乃木坂高校に通う高校3年生
この世に生まれて18年
とにかく僕はツイてない…
おみくじは13回連続大凶
鳥に糞をされる
車に水しぶきを掛けられる
財布を盗まれる
なんて日常茶飯事。
旅行に行けば、気象庁も予測不能の台風直撃
そんな、僕でも一つだけツイてることがある
??: 〇〇〜!置いていくなんてひどい!!
はい、来ました
朝からテンションMAXで走ってくる女子高生
??: 〇〇!おはよう!!
彼女は菅原咲月
僕と同級生で幼馴染、幼稚園からずっと一緒
常にハイテンションで永遠に喋り続ける
その美貌で学校のマドンナ的存在だ
こんな美人な幼馴染がいる
それが僕が唯一ツイてる事だと思っている
咲月∶〇〇!なんで一人で行くの?
〇〇∶朝から咲月のマシンガントークはキツイから
咲月∶なにそれ!!朝から元気になれるでしょ?
〇〇∶体力使う…
咲月∶む〜
〇〇∶急がないと遅刻するよ
咲月∶ちょっと待ってよ
ズコッ
咲月∶イテテ…
〇〇∶大丈夫?
咲月∶うん、慣れてるから(笑)
〇〇∶はは(笑)
言い忘れてけど、咲月も運は良くない
僕程ではないが
例えるなら小吉かな。
咲月∶実は、昨日また告白されちゃった♡
〇〇∶えっ、また?
咲月∶うん、今月5人目
〇〇∶流石、マドンナ
咲月∶そんな事ないよ〜
〇〇∶(満更でもない顔して)
〇〇∶返事はしたの?
咲月∶断った
〇〇∶なんで?
咲月∶だって、私には小さい時から憧れの王子様がいるから
〇〇∶またそれか(笑)
咲月には昔から王子様と呼ぶ好きな人がいるらしい
まぁ、どうせ俳優かアイドルとかだろうけど
ポトッ
咲月∶あっ!
〇〇∶…
また、糞を落とされたらしい
いつも通りの日常が始まった。
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咲月∶いろは、おはよう!
いろは∶さっちゃん、おはよう〜
いろは∶あれ?制服汚れてるよ
咲月∶また、転んじゃって
いろは∶また(笑)
いろは∶あれ?〇〇君は?
咲月∶一緒に来たはずだけど
〇〇∶僕は誰にも気づかれなかったから
5分前から着席してるよ
いろは∶ごめ〜ん、気づかなかった(笑)
ガラガラ
先生∶皆、席に付け
いきなりだが、転校生を紹介する
入っていいぞ
??∶は〜い♡
先生∶神奈川県から転校してきた
川崎桜さんだ
桜∶よろしくね〜
先生∶じゃあ、川崎さんは空いてる渡邉の隣の席に
川崎∶えっ!?
なぜ、川崎さんがこんなリアクションになるかと言うと…
僕の席は教卓の目の前
一番最悪な席なのだ…
本来なら渡邉は一番端の席でどっしり構え
一枚余ったプリントを橋本を掠めながら
先生に渡すだけなのだが、ウチの学校は誕生日順で席が決まる為こうなってしまった…
〇〇∶(川崎さんもツイてないな)
桜∶桜はやっぱりツイてる〜
〇〇∶?
♪トゥントゥントゥン
川崎∶♪一番前の席なんて〜
絶対居眠り出来ない〜
自然と勉強捗って
東大に合格しちゃうかも
さくさくラッキー
さくラッキー!
〇〇∶なにこれ
イェーイ!
咲月はリズムに乗って踊っているようだ…
桜∶よろしくね〜
〇〇∶うん、よろしく
先生∶じゃあ、授業始めるぞ
それから、授業が進んで行ったのだが
桜∶あっ
〇〇∶ん?
川崎さんが消しゴムを落としてしまったようだ
桜∶よいしょ
〇〇∶よいしょっと
桜〇〇∶あっ//
その瞬間、消しゴムを拾おうとした二人の手が
触れてしまった
〇〇∶ご、ごめん
桜∶ううん、大丈夫///
クラスメイト∶なになに?なんか良い感じじゃん!
〇〇∶からかわないでよ
桜∶///
〇〇∶(なんか恥ずかしいな)
キリッ
〇〇∶えっ?
〇〇∶なんか、後ろから冷たい目線を感じる
何故か、咲月がこちらを睨んでいる
〇〇∶?
咲月∶プイッ
昼休み
咲月に話しかける
〇〇∶咲月、さっきなんで睨んでたの?
咲月∶別になんでもないもん
〇〇∶なんでもないことないだろ?
咲月∶鈍感な〇〇には分からないよ
〇〇∶鈍感じゃないけど…
咲月∶それが鈍感なの!
咲月∶それより、なんで〇〇の弁当は梅干しだけなの?
〇〇∶多分、親父の弁当と間違えたんじゃないかな
昨日、親父と母さん大喧嘩してたから
咲月∶なにそれ!?そんな事ある(笑)
〇〇∶その顔の方が咲月らしいよ
咲月∶え?
〇〇∶睨んでるより、笑顔の方が可愛いよって事
咲月∶急になに///
〇〇∶照れた?(笑)
咲月∶なんかムカつく〜
〇〇∶(笑)
それから数週間後
先生∶そろそろ学園祭の時期だが
このクラスでやりたい事ある人?
クラスメイトA∶はい!演劇とかどうですか?
クラスメイト達∶良いじゃん!やろうよ!
先生∶よし、じゃあうちのクラスは演劇で決まりだな
咲月∶楽しそう!
いろは∶だね!
〇〇∶(正直、面倒くさいな…)
その後、話し合いで今、流行っているという
恋愛物をすることになった
先生∶じゃあ、まず役を決めるぞ
主役の王子様役をやりたいやついるか?
男子∶シーーーン…
〇〇∶(流石に主役は…)
〇〇∶(うわっ頭に虫が)
パンッ
先生∶おっ!渡邉やりたいのか?
〇〇∶あっ!違っ
先生∶よしっ!王子役は渡邉に決定!
パチパチパチパチ
〇〇∶(嘘だろ…)
先生∶じゃあ、次はお姫様役やりたいやついるか?
咲月∶はい!
〇〇∶(咲月が手を挙げるなんて珍しいな)
桜∶は〜い♡
先生∶菅原と川崎か
じゃあ、ジャンケンで決めよう
ジャンケン
ポン!
咲月∶…
桜∶桜はやっぱりツイてる!
先生∶お姫様役は川崎に決定
〇〇∶咲月らしいな(笑)
それから本番に向け稽古が始まった
〇〇∶姫を愛しています
桜∶嬉しいわ♡
〇〇∶一生一緒にいよう
桜∶もちろん♡
はい、カット!
クラスメイトA∶良い感じじゃん
クラスメイトB∶桜ちゃん、演技上手いね
桜∶ありがと〜♡
咲月∶…
〇〇∶咲月?
咲月∶え?なに?
〇〇∶なんか元気無い?
咲月∶そんなことないけど
〇〇∶姫役やりたかったのは、分かるけど咲月の役も良い役じゃん
咲月∶うん…でもお姫様役したかったな
咲月∶だって…
〇〇∶ん?
咲月∶なんでもない!稽古始まるよ
〇〇∶う、うん
クラスメイト∶じゃあ、次ラストシーン!
それから、稽古中
咲月はずっと浮かない表情をしていた
そして、迎えた本番当日
〇〇∶おはよう
クラスメイトA∶〇〇君、おはよう
ん?なんか制服汚れてる?
〇〇∶うん、登校中に鼻血が出て
その後、車に水しぶきを掛けられたから
クラスメイトA∶………(ドン引き)
〇〇∶慣れてるから(笑)
クラスメイトB∶おい!大変だ!
〇〇∶どうしたの?
クラスメイトB∶川崎さんが熱出したらしい
〇〇∶え?
クラスメイトA∶じゃあ、お姫様役はどうするんだ?
クラスメイトB∶その事、なんだけど
川崎さんが咲月ちゃんにやってほしいって言ってたらしい
咲月∶え!私?
クラスメイトB∶川崎さんから咲月ちゃんに伝言があって
♪トゥントゥントゥン
お熱出しちゃったから〜
咲月ちゃんがプリンセスなれた〜
もしかしたら桜が
恋のキューピットなっちゃうかも
さくさくラッキー
さくラッキー
〇〇∶なにこれ…
咲月∶桜ちゃん…
咲月∶私、頑張る!!
〇〇∶よろしくね、お姫様
咲月∶うん///
そして、開演を迎えた
咲月∶王子様、私を連れ出して
〇〇∶しかし、お父様が
咲月∶そんな事関係ないわ
クラスメイトA∶咲月ちゃん、スゲーな
クラスメイトB∶〇〇君も、感情入ってるね
舞台もそろそろ終盤
いろは∶さっちゃん、すごいね!
咲月∶そんな事ないよ、でも楽しい!
いろは∶いよいよ、ラストの愛の告白のシーンだね
咲月∶緊張する…
いろは∶大丈夫だよ!さっちゃんの〇〇君への気持ちを込めて演じれば絶対上手くいくよ!
咲月∶〇〇への気持ち…
分かった!やってみる!!
〇〇∶姫!どこにいるのですか?
咲月∶私はここです、こんな所に呼び出して
ごめんなさい、でもどうしても気持ちを伝えたくて
〇〇∶姫…
咲月∶許されない恋かもしれません
でも、私はあなたが好きです
物心着いたあの頃から
〇〇∶ん?
咲月∶いつも、一緒にいて、いっぱい笑って
私の話をずっと聞いてくれて、 たまにムカつくけど、でも一緒にいたくて気付いた時には好きになってた
クラスメイトA∶こんなセリフあったか?
咲月∶ずっと好きなのに、気付いてくれないし
私も言えなかったけど
ずっとずっとずっと〇〇の事が大好きです
〇〇∶咲月…
いろは∶気持ち込めすぎだよ(笑)
〇〇∶僕も今まで言えなかったけど
咲月がずっとずっとずっとずっと大好き
咲月∶〇〇!!
〇〇∶僕だけのお姫様になってください
咲月∶はい!!
ギュッ
観客∶ヒューヒュー
クラスメイトA∶すげー事になったな…
観客∶キース!キース!キース!キース!
〇〇∶えっ///
咲月∶どうする?
〇〇∶するしかないよね?
咲月∶うん///
〇〇∶するよ?
咲月∶うん♡
ハックション!!!
〇〇∶??
咲月∶??
観客∶??
クラスメイト∶??
いろは∶ごめーーーん!!!
咲月∶いろはーーー!!
私のファーストキスがー!!!
〇〇∶僕と咲月ならこうなるか(笑)
こうして、僕は咲月と結ばれた
恐らくこれからも僕は大凶、咲月は小吉な日常を
過ごすのだろう
でも、なにがあっても咲月となら
大吉な人生になる事は決まっている
#菅原咲月
#川崎桜
#奥田いろは