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雑誌をこうやって作っています。

ひとり編集部だからこそ伝えないといけないことがある――とずっと思っていました。紙の雑誌がどう作られているか? 前職は新聞記者ですが雑誌編集の経験はゼロ。ひとりで雑誌を立ち上げ1年で5号出してきました。

雑誌『SDGs+』を知っていただくために4つ書いてみます。テーマもバラバラですが、まぎれもなくコロナ禍の編集戦記。興味を持ってくれる方がいたらいいなと願い、note6本目の投稿です。

①創刊準備は3カ月、ターゲットは企業広報

弊社には以前『CASレポート』という企業の全国紙における露出を毎月ランキングした会報誌がありました。ランキング以外に、話題になった新商品をどうPRしたのか企業広報に聞くコーナーと、3ページほどの「ケース・スタディー」という広報やPRのキーパーソンへのインタビュー記事があり、私はその2つの取材ページを担当していました。その『CASレポート』が2022年3月で廃刊となりました。その代替としてSDGsに特化した雑誌ができないだろうかという話が上から私に来ました。創刊号を6月2日に出したので準備期間は3か月ほどでした。

新雑誌を創刊できるかわからない状況下でひとり編集部が立ち上がりました。初めに行ったのは大まかに雑誌のイメージ決め。ターゲット、年間スケジュールと特集テーマ、価格、販売するのか販促物なのか、部数は――と細かいことばかりです。そうそう誌名もです。

②新聞社に逆取材する



SDGsについて新書を3冊読みましたが、なかなか具体的なイメージがわきません。前レポートの後継という意識が強かったのか、創刊号の特集は、「ここから始めるSDGs広報、新聞を逆取材する」。全国紙5紙のSDGs関連記事数をはじめ、SDGsの話題は新聞社のどの部門が担当しているのか、取材窓口直通のメールアドレスについても各社に取材しました。

今考えてもなかなかに無茶なテーマです。何よりも準備期間が短すぎます。
それでも伝手をたどって5社のうち3社のアドレスを表に記載できたのです。

毎日新聞の科学環境部のデスクに、いまSDGsでどんなテーマに関心があるのか、企業はどうメディアに売り込めばいいのか、インタビューしました。また、ロシアによるウクライナ侵攻という問題も無視できませんでした。平和報道に携わり新聞協会賞を受賞した地方紙記者にも被爆地のジャーナリストとして寄稿してもらいました。

創刊号の柱となるメディアへのインタビュー・寄稿は前職のつながりで実現しました。安堵の反面、こういった飛び道具を出さないと雑誌がつくれないのか愕然としたのを覚えています。取材を受ける側は、どんな雑誌になるか見当がつかず、出版社でもない会社が話を聞きたいといっても胡散臭いだけなのは、よく分かるんです。

ここで一つ伝えたいことは、難しい取材を依頼する際に、正面玄関から入っていこうとしないということです。裏口から入れてもらうにはどうしたらいいのか考えを練った方がいい。もう一つ、取材で聞きたいことや紙面イメージをあらかじめ作成し、メディアの広報部門に提出することも大切です。誌面イメージはラフでかまいません。こんな写真がほしいと取材前に決めておけば、取材する自分も取材される人も安心できますよね。

③普段からあらゆる広告物、雑誌を見ること

企画のヒントはどこにでも転がっています。電車の中、街角、メディア、書店、SNS……映画のポスターもそうです。気になったらメモでも画像をスマホに保存しイメージを膨らませてください。

雑誌はマガジンハウス発行のもの、女性誌なら「VERY」、フリーペーパーもいいですね。私のお気に入りは松山市の『暖暖松山(だんだんまつやま)』、秩父鉄道の『PALETTE(パレット)』。函館の「Peeps(ピープス)」。社内報もカッコいいのがあります。伊藤忠の『星の商人』。紙面デザインはこういった雑誌から多くを学んでいます。

レイアウトと記事の書き方は全くの別。コラムは『POPEYE』『anan』、記事は『AERA』が私は好きです。好きな書き手がいればどんどん真似したらいい。引用の明記、話した内容をその曲げず使用するといった記事の基本はもちろん守らなくてはいけません。自分が撮影した画像でなければ提供元のクレジットが必要です。記事を書くとき手元に共同通信社から出ている最新版の記者ハンドブックを置き、表記には嫌と言うほど気を配りましょう。

④私の失敗

準備不足と、予算ゼロから始まったひとり編集部。今振り返っても大きな間違いをおかしたと反省しているのは、雑誌の顔「表紙」づくりです。ここにお金と時間をかけなければいけませんでした。商業誌をみてもアイドルやモデルばかりですが、おぉ~とページをめくりたくなる表紙は、写真でも大胆な構図で魅せていますし、イラストも何か吸い寄せられる魅力があります。ぜひ、雑誌の「顔」選びに力を注いでいただきたいと思います。次回は、表紙についてお話したいと思います。

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