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催促電話の憂鬱

「取材の件ですが、いかがでしょうか」と催促電話をA社の広報に入れた。

校了5日前。土日を挟むので、先方の記事の確認作業までを考えれば、もうギリギリのタイミングだ。

キリキリ胃が軋むなかでの催促電話。案の定、広報直通ダイヤルにかけてもダイレクトにはつながらないのがこのご時勢。担当に転送されるまでの保留音メロディーがうらめしい。

ようやく担当者につながった。「今やっていますけど、何か」と乾いた声音。受話器を握る手がプルプル震える。

「黙って待ってろい」と言われないだけましなのか。

回答が上がってきたのはその日の夕方5時すぎだった。

プレスリリースをコピペしただけの回答だったら承知せぬぞと待ち構えていたのだが、開発の背景から発売後の反響まで、変化する社会への目くばせもあり、何より広報の想いもしっかりと書き込まれていた――。

そうだよね。電話は苦手なんだよね。と自分を納得させる以外にない。

いい原稿が書ければプロセスなんて、どうでもいい、わけないか。

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