思い出の場所:エジプト アブ・シンベル遺跡について
高校生の時、旅行好きの親に連れられアブ・シンベル神殿を訪れたことがあります。
実は・・今回この記事を数日にかけて書いている間に、TBSの番組”世界ふしぎ発見!”でアブ・シンベルが取り上げられましたね! 放送される前にUPしたかったのですが間に合いませんでした笑
さて、戻りますが、「アブ・シンベル神殿」は、高さ33メートル、幅38メートル、奥行き63メートルという壮大な建造物です。
正面には高さ20メートルを超える像が4体あります。
遺跡の存在だけでも歴史的価値があり見事なのですが、当時の一番の驚きは、この巨大な神殿が水没の危機にあったため
のこぎりで切り分けられ解体され、別の場所から移動してきて組み立てられたということです。
砂漠で水がないのに水没? 遺跡を切断? 移動? どうやって? 絶対無理でしょ。。。 高校生の私にはむしろショックでした笑
ただ、それが世界中の知恵と技術で実現できてしまったのですから驚きです。
昨年、世界遺産検定2級の勉強をしたとき、 公式テキスト内に書かれていたアブシンベル神殿に関してヌビアキャンペーン言う言葉をはじめて知りました。
そしてこのアブ・シンベル神殿こそが世界遺産の始まりのきっかけになったということもはじめて知りました。
まずは遺跡について。
アブ・シンベル」「フィラエ」とは、世界遺産に登録されている遺跡群がある場所です。
エジプトを流れるナイル川の上流のヌビア地方に位置します。
「アスワン」という都市がヌビア地方の中心都市です。
このアスワンから南へ約280km行ったことろにアブ・シンベル神殿があります。思ったより遠いです。
一方のフィラエは、アスワンから南へ約10km行ったナイル川内の島を指します。 アブシンベルとは隣接していなく意外に距離がありますね。
アスワンから少し足を伸ばした場所ですが、見応えがあってエジプト旅行をするなら必見の場所だと思います。
ちょっと遠いけど行った方がいい?と聞かれたら絶対行くべき!と答えるでしょう笑
エジプトの遺跡ってとにかく砂だらけの土地の中にどうやって建立したのかと思うほど でん!と存在しているんですね。
とにかく遺跡が大きい!ダイナミックの一言に尽きます。
登録国 エジプト
登録年 1979年
登録基準 (i) , (iii) , (vi)
分類 文化遺産
その他の特徴 その他宗教 / 古代都市
アブ・シンベル神殿:
古代エジプトにおける最大級の神殿で、プトレマイオス朝時代に建てられたエジプトの歴史を語る上で重要な神殿です。
ラメセス2世は国王の力を世界に知らしめることに成功しました。
また文頭に書いたように世界遺産の創設に大きく影響した神殿でもあります。
アブ・シンベル神殿の魅力のひとつは、巨大な岩山を削って建造された大神殿ということです。「洞窟神殿」とも言われています。
エジプトの遺産は大抵平らな土地に建てられているのですが、この場所に神殿を造るための開けた平らな場所がなかったからです。
さらに他にも魅力ポイントがあります。
神殿の正面口に4体のラメセス2世の座像が切り出されている。
神殿内の大列柱にラメセス2世の像が彫られている。
神殿の奥まで進むと「太陽神ラー・ホルアクティ」や神として扱われたラメセス2世などの巨大な像が置かれている。
特にすばらしいのは、細かく設計された神殿の内部です。
まず内部の壁には、カデシュの戦いでのラメセス2世の姿が繊細に描かれています。
さらに神殿の奥にある像は、年に2回だけ、10月22日と2月22日 、神殿の奥にある像に太陽の光が差し、これを最近では 光の奇跡 と呼ぶそうです。
その日になると大勢の観光客が訪れるそうです。
また、ラメセス2世は最愛の妻であるネフェルタリのために、アブ・シンベル神殿の北120mほどのところにも神殿を建てました。
こちらの神殿もアブ・シンベル神殿と同様にラメセス2世の像が4体彫られています。
ヌビアキャンペーンについて:
水没の危機:
ダム建設にあたり大きな問題が発生しました。
ダム建設予定地の近くには、アブ・シンベル神殿をはじめとする古代エジプトの貴重な遺跡群が存在していたのです!
ダムの建設により、川の水位が上がるため、遺跡群が水没してしまうのです。生活を豊かにするために貴重な遺跡を沈めてしまうなんて事はできないですよね。
そこでアブ・シンベル神殿をはじめとする遺跡群を保護するためにユネスコは「ヌビアの遺跡群の救済を呼びかけるキャンペーン」を実施します。
このキャンペーンは、ユネスコという大きな国際機関が呼びかけたこともあり世界中で注目を浴びました。
遺産の移動:
多くの国の援助を受け、神殿のお引っ越しがはじまります。
この巨大な神殿のお引っ越しについて簡単に書きます。
・1960年、「アブ・シンベル神殿」はアスワン・ハイ・ダムの建設計画により水没の危機に (ナイル川の氾濫を防止する、
安定した電力を供給するために)
・ユネスコはこの事態を救済するためにヌビアキャンペーンとして世界中に協力してもらうことに
・世界中から集まった救出案のうち、スウェーデン案の切断・移設案に決定
・移設は大神殿だけで800個のブロックに切断
・多くの国から技術者を集めて、全ての工事が完了したのは、工事開始から 4年後の1968年
こうして歴史上初の試みの巨大遺跡の移築工事は完了しました。
この大規模な「アブ・シンベル神殿」の移設工事がきっかけとなり、世界遺産の始まりとされています。
この思い出の地は、機会があれば訪れたい場所のひとつです。
(ティアラ) 一部画像は世界遺産検定公式HPからお借りしました。