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風薫る尾道 海の見える坂道

広島に来て早くも2年が経ちました。
GW明けから激務が続いており、人の形を保つのがやっとという日々。先輩として、夢と希望に満ち溢れた新入社員たちに疲れ切った顔を見せ続けるわけにはいかん。
と思い立って平日連休を取り、気分転換にお出かけすることにしました。
さて、どこへ行こう?
この春に産まれた子ウサギを見に大久野島に行くのもいいし、職場の後輩から強力レコメンドされている山口の中原中也記念館もいいし、三次ワイナリーで飲んだくれるのもいいし、西条で日本酒の蔵元巡りするのもいいし…(後半酒ばっかじゃねーか)。
どうせなら美味しいものも食べたいしなー、とふと思いついたのがそう、尾道。
恥ずかしながら私、今までの人生の中でちゃんとした尾道ラーメンを食べたことがありません。
どうせなら本場で味わおう!ついでにノスタルジックな坂の町で癒やされて来よう!
と、とある朝から快晴の日、電車に飛び乗ったのでした。

食べ飽きない!恐るべし尾道ラーメン

お昼前に尾道駅に着いたので、海の近くをぶらりと歩いてみることに。
右手には穏やかに凪いだ尾道水道、そしてすぐ向こうには向島が見える。
青く澄んだ瀬戸内の海、大好き。
というかさすが本場、あちこちに尾道ラーメンのお店が点在しており、中には平日なのにズラッと行列のできているお店も。
事前に美食家の上司に教えてもらったお店は駅から少しだけ離れていたため、たどり着くまでに数々の誘惑を乗り越えねばなりませんでした。
と、15分ほど歩くと突然恐ろしいほどのいい匂いが…。
目指していた『中華そば 朱』です!
こちらのお店は尾道ラーメン発祥とも言われる『朱華園』の味を受け継いでいるのだとか。
小綺麗な店内に入ると、右手に食券の販売機があります。
中華そば650円?安い!
今どき1000円超えのラーメンも珍しくないというのに。
ほどなくして運ばれてきたラーメンは、一瞬慄くほど背脂が浮いており、こってり系かな?と思わせるビジュアル。
ただ、スープを飲んでみるとびっくり。あっさりしたキレのいいスープ(鶏ガラかな?)と背脂のコクがお互いを引き立て合っていて、これは飲み飽きない!
麺は平打ち麺で、スープとの絡みも抜群。
何だよ、尾道ラーメン超美味しいじゃないか!
計算され尽くしたバランスなんですね。これは毎日でもいけちゃうなー。
また行きたいどころか、今もう食べたくなってるw

千光寺山ロープウェイで一路山頂へ

お腹いっぱいになったところで、いよいよ古刹・千光寺へ。
坂道を歩く体力はないので、ロープウェイで山頂を目指します。
山頂までは3分ほどの短い道のり。
眼下には尾道水道と、向島が見渡せます。
いい天気、いい景色だなあ!

ただのバニラソフトと侮るなかれ

山頂に着いたら、まずは別腹別腹〜。
気になった『はっさくミックス』をいただきます。もちろんラーメンとは別腹なので大丈夫です。
見た目はバニラソフト、しかし八朔が絶妙にミックスされているので、爽やかさと微かな酸味とほろ苦さが今日の青空にぴったりじゃないか。
ここから『文学のこみち』を下って千光寺を目指します。

お、正岡子規先生の句碑がある!
子規先生といえば、私の第二の故郷・愛媛県が生んだ偉大なる俳人。
愛媛もまた行きたいな。

こちらは志賀直哉先生の『暗夜行路』。
先生の、無駄のない美しい文章は憧れです。
そういえば尾道には『パン屋航路』というパン屋さんがありますね。
嫌いじゃないわー、そのセンス。

千光寺で鎖修行?

平安初期創建の古刹、千光寺。
尾道の代名詞と言ってもいいかも。
この日は(も?)外国人観光客の方々が多かったです。我々が海外の古い教会や聖堂を観るような感覚なのかな。
清水の舞台ならぬ千光寺の舞台からの見晴らしは最高でした!
さらに奥へ歩みを進めると…。

鎖場が出現。
こちらはくさり山(石鎚山)と言って、平成に復活した鎖修行の場なのだとか。
登る?登らない?
しばし葛藤しましたが、今回は断念。日傘持って登るのは危険(無理)だよね。
もう少し体力つけてから来よう。

天寧寺・海雲塔と猫の細道

しばし下りの歩を止めて、新緑の海雲塔を望む。
こちらもザ・尾道な眺めです。
それにしても、街並みも含めて素敵なところだな、尾道。
季節のいい、晴れわたった日に訪れることをお薦めします。
ここから続く坂は、通称『猫の細道』と呼ばれているそう。
至るところに猫のアートや本物の猫がいるそうですが、この日は気温が高かったからか、猫は一匹も見かけませんでした。
坂道を上がってきた若者たちが、猫がおらんのやけど〜と嘆いていたので、猫の皆さんはどこか日陰で涼んでたのかな?

うんうん、何とも風情のあるいい坂道だ。
左手に神社があったのでふと入ってみると、何と一匹だけ猫がいました!
写真撮ろうとしたら、光の速さで逃げていったけど。

樹齢九百年!艮(うしとら)神社のクスノキ

映画『時をかける少女』の撮影場所にもなった艮神社。
樹齢何と九百年と言われる大きなクスノキが圧巻です。
あと百年したら屋久杉の仲間入りじゃないか!
平安末期、源平の戦いの頃から生きてるのかと思うと、ますます威容を増して目に映ります。
人に歴史あり、樹木にも歴史あり。

水出しコーヒーの涼やかさ

坂道の散策を終えた後は、駅近くの『尾道浪漫珈琲』で水出しコーヒーをいただきます。
暑くなってくると、水出しコーヒーとかゴクゴク飲める薄めのビールが恋しくなるよね。
友人にレモネードとレモン塩、お酒好きの上司にはかの日本画の大家・横山大観が終生愛飲していたという三原のお酒『醉心』の純米大吟醸(超軟水仕込)を買って、尾道の真っ青な空と美しい海に別れを告げます。

人生初の尾道。
どこを切り取っても絵になる、歴史と新しさが融合する場所。
今度は秋に来て、また坂道を散策したい。
もちろん、尾道ラーメンはマストです!


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