メンヘラホイホイ-39 怪談話その2
-朝刊-
新聞屋で働いている時だった。
朝刊は午前2時には配達を開始する。
とあるおばあちゃんの家のアパートで、中から取り出せる扉に付いたポストに朝刊を入れる。
おばあちゃんは今まで何度も配達してるが、中から新聞を引っ張る事はしない。
が、その日は違っていた。
ポストに入れた瞬間に、中から新聞を引っ張られた。そしておばあちゃんの声で
「いつもありがとうね」と言われた。
俺は思わず
「こちらこそいつもありがとうございます。おばあちゃん、まだ日が昇るまで時間があるので休んで下さいね」と伝えた。おばあちゃんは返事をしなかったが、扉の向こうで頷かれた様な気がしたので次のお宅への配達に向かった。
何か冷や汗をかいていた。嫌な予感がした。
翌日はいつもの担当者が配達をした。
彼は年上の後輩で全身墨が入っている。
和柄で、それは綺麗な龍が描かれている。
指は何本か無い。
俺はその人に気に入られていて、仕事を教えたのも俺だった。だから先生と呼ばれていた。
「先生、あの△△荘のおばあちゃんちから死体の匂いがするから見に行ってみた方がいいかも。」
と連絡が来た。
翌日、おばあちゃんの身内から事務所に連絡が来た。
「1週間前に亡くなったんです。」
おばあちゃんは集金を楽しみにしていた。色んな話ができるかららしい。古新聞も回収するんだが、おばあちゃんの出す古新聞はいつもたくさん読み込んだであろう形跡があった。
声を掛けてくれたのはきっとあのおばあちゃんだ。いつも優しかった。
-おじいちゃんと一緒に行った神社-
母方のおじいちゃんは寡黙な人だったみたいだが、俺にはすごく優しい人だった。色んな話しをしてくれた。12ヶ国語を話せる人で飛行機の整備士。今思えばおじいちゃんは、各国を渡る事で得た知識の究極の答えが某部族の考え方だったんじゃないかと思う。
ホピ族、ワイタハ族、アボリジニ
彼らの考え方とおじいちゃんの発送は一緒だった。
人間は地球に生かされている。
そんなおじいちゃんに誘われて、おじいちゃんの家の近くの神社の夏祭りに行く事になった。
おじいちゃんが生きていた頃はその神社に行ったが、おじいちゃんが亡くなってからその神社は消えてしまった。
そもそもおじいちゃんの家の裏は竹藪だった。
でもある日突然、夏祭りの時にその神社がおじいちゃんの家の裏に現れたんだ。
親戚に聞いても、そんな神社は無いって言うんだけど。覚えているのは俺だけ。
もしかして「きさらぎ駅」みたいなものなんだろうか。