産婦人科の娘

同じ中学だったが、一度も同じクラスにはならなかったF子って女の子がいた。
中1の時に知り合って、手紙をやり取りしたりして、付き合ってたりした。
俺とは成績程度が同じだったので、高校は同じ高校に進学。
1年生の時に初めて同じクラスになった。
彼女の家は産婦人科の個人病院だった。
彼女と女の子3人に俺とカマ秋にナンダーラとで、よく放課後に喫茶店に行ったりしていた。
たまには、F子の家に行っていたよ。彼女の家は産婦人科の病院と実家、そして同じ敷地の中に彼女用の別宅が建てられていた。理由は、彼女がピアノを習っていて、小学生の時から都内の音楽教室に通っていたから、ピアノの練習用に防音の部屋を作ったのである。
1階の広い部屋にグランドピアとキッチントイレがあり、グランドピアノのある部屋は、防音だった。
2階もあり、2階にはテレビにソファーとかがあった。
俺たちは主に防音の部屋に集まっていた。
ちゃんとソファーやテーブルもあり、ステレオもあった。コーヒーを淹れては、そのソファーに座りながら、話したりしていた。

高2の時、俺は男子クラスになり、彼女は別のクラスになった。
いつも俺に教科書とか借りに来ていたから、彼女は男子クラスでもお構いなしに俺の席に来ていた。男子クラスであるから、俺のところに女の子が来ると「ヒューヒュー」とかうるさかったけど。俺は俺に限らず、女の子が来るとそうなる。俺も「ヒューヒュー」と他人の時は囃し立てていたから。

ある日、F子が俺の席に走って来て、俺に抱きついて来て、俺の胸に顔を埋めて泣き出した。
最初「ヒューヒュー」だったが、雰囲気が違ったので、周りは静かに凝視していた。
F子は、休み時間の間ずっと俺を離さなかった。俺も急なことに戸惑い、まだ17のガキで女慣れしてなかったから、頭を撫でて宥めるしかなかった。
彼女の実家が産婦人科医院なのは知られていたから、俺が彼女を孕ませて、降ろさせたから泣いた、こう言う話が広まった。
この噂は光速で流れて、俺は職員室に呼び出されたのだった。
だが、俺は無実だったし、彼女は堕胎は愚か妊娠もしてなかったから、無罪放免だった。
うちの高校は校則は厳しかったが、男子交際や喫茶店は禁止されてはいなかった。高校生らしい交際やアルコール出さない店なら大丈夫だったのである。
だが、俺は職員室には2回呼び出されたし、彼女も同様だったそうだ。
うちのクラスでは、無理やり降ろさせた男としばらく言われていた。
無実なのに。

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