辞めたラッシャー

新卒の時の同期にK川と言う男がいた。
彼は「何何でふ」みたいな話し方をするので、内定者懇談会で何度も飲んでるうちに「でふ」とあだ名がついていた。
そして、入社。
新卒の研修の時に彼がラッシャー木村選手に似てると言う話になった。
そこで彼のあだ名は、「ラッシャーに変わった。でふよりラッシャーの方が言いやすかったからかも。

同期はみんなそれぞれ4月に配属されていった。
月に1回本社で研修があったから、同期で集まって研修終わりに飲みに行っていた。

5月の中旬、俺は用事があって、本社に行っていた。1時間程度で用事は済んだので、帰ろうとエレベーターを待っていた。
すると営業次長から声をかけられて、帰るのなら駅まで一緒に行こうと言われた。俺は次長との関係は良好だったから、了承した。
で、駅の近くで「時間あるなら、お茶でも飲んで行くか」と言われたので、一緒に喫茶店に行ったのだった。
珈琲を飲みながら、同期の話になっていた。
そこで、K川が会社を辞めた話を聞かされた。
俺は驚いた。まだ入社して2ヶ月も経ってない。

俺は仕事終わって帰宅してから、同期の何人かに電話してみた。
誰か辞めた理由知ってるかもしれないと思って。
するとラッシャーの隣の営業所勤務の同期が、ラッシャーの営業所の先輩社員から話を聞いてくれていた。
なんでもラッシャーは、自分のテリトリーの中の寿司屋の前で、その店の住所電話番号とかをメモしていたらしい。
すると店内から包丁を持った職人が出て来て、「何してやがる!」とラッシャーを追いかけたらしい。
それにビビって、ラッシャーは辞めてしまった様だった。
ラッシャーの自宅の電話も知っていたが、辞めたラッシャーには電話し辛いので、誰も真相を本人には聞けなかった。
ラッシャーとはそこまで踏み込んで話せる同期はいなかったから。もう何ヶ月か後なら、誰かがもっと親しくなっていただろうが。その時点では、まだそこまで踏み込めなかったのだ。

包丁持って追いかけられたのは、やばたにえんw

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