お名前鬼馬二
これは知り合いの男のことである。
お名前と言うのは、訳がある。尾張弁のイントネーションは、標準語とはかなり違う。
お名前は、標準語だと強調する単語はなく、平坦な発音となる。だが、尾張弁だとお「な」まえとなり、なが高く発音される。
彼の留守番電話のアナウンスには、あなたのお名前知りたいな、とメッセージがあった。このお名前のイントネーションを友人Kが面白がり、最初お名前と呼んでいた。
その頃、俺たちはレンタルビデオで、仁義なき戦いのシリーズを借りて見ていた。
そこに丹古馬鬼馬二さんが出演していた。
そこでお名前に鬼馬ニを付け加えて、お名前鬼馬ニと言うあだ名を付けたのだった。
お名前鬼馬ニが、今生きているかもわからない。確か俺とタメだった筈。生きているだろうが、同級生には病死した人も数人いるから、分からないや。