水0.5mlで墨を磨り、般若心経を5行書く　求む心の平穏　エナジーの防衛　INFJ

2mlの注射器で水道水を0.5ml吸い、三五度の硯に入れる。

墨を磨る。あっという間にトロトロの墨汁ができる。墨の香り。硯の平らなところで間に合う量だ。0.5mlでどれぐらい書けるんだろう。

小筆に取り、般若心経の続きを書いていく。

小筆、ちょっと前回洗いすぎたかもしれない。そもそも小筆の白い部分まで墨汁をつけてしまってる。初心者だからしょうがないか。それに最後に拭うティッシュが水タプタプすぎたかもしれない。なんだかバラけて以前より書きにくい。小筆を何本か試しに買ったとき、一緒に筆固め用糊を購入してて良かった。何本か使って上達した頃にまとめてメンテナンスしてみよう。

そんなことを思いながら、ゆっくり書いていく。

ダイニングテーブルと椅子の関係からテーブルがちょっと高い。椅子に正座して背筋を伸ばして。老眼鏡必須。

筆ペンでちょこっと書くときは2行だけど、今日は時間があるからもうちょっと書こう。筆ペンのときよりもゆっくり書いてる気がするからそんなにたくさんは書けなさそうだけど。

3行、4行。上手く書けたという字と、てんでダメという字が混在する。私、羅という字が好きだわ。

やっぱり墨汁はそんな減らない。５行書き上げたとこで、もう集中力が保てないからやめようとなったけど、あと2〜３行くらい書けそうなほど残ってる。少しだけれど。ティッシュ一枚で充分吸い取れる量だけど。書いてるうちに蒸発して減っていってる気もする。今度書くときは0.4mlにしてみようかな。墨、長持ちしそう。

この一連の流れ、なんだか取り留めないことも考えてた。会社のあれこれ、合わない人と働くときの違和感やあのときこう質問して丸投げをし返すの忘れたな、などの反省点。まぁでも、そこまでして育てる必要ないなと思ったり。質問ってプレゼントだよね。労力かけてそこまでやってあげたい相手じゃないわ。

以前に『会社所有のアパートの屋上に置いてる室外機の管？がボロボロになってる』と報告だけしてきたあれだ。そうですか、とだけ返事したんだっけ。そうですか、ボロボロになってるんですねー。傾聴だけ。

予想通り、あれ、どうなりました？と来たもんだ。私は心の中が忙しかった。（うわ。予想通りとはいえ。あれどうなりました？って、なんやねん、自分でやれよ） なんて心の口が悪いわ。でも外面は、のらりくらりと、さぁ？という態度だけして。丸投げし返すの忘れた、けど、あれはあれで良かったかな、とか。どうなりました？って、どうもしてないですけど。

『ボロボロになってます！』
『あれ、どうなりました？』

の間のプロセスがいつもスッこ抜けてるの一体なんなんだろう。この2つのセリフ間の違和感がキモい。修理の手配お願いできますか？　わかりました、みたいなやり取り一切ないのですが。ていうか、私、親族で誰も引き受けないから祭り上げられたとはいえ、一応名目は社長なんだけど。手配してもいいですか？じゃない？　納得がいかない。自分の方が立場が上と思っているけども、扱いは被扶養人でありたいのか。しれっと責任は押し付ける振る舞い。

私は教え諭さねばならない扶養義務のある保護者ですか？　毎回、急がなくていい理由やらない理由と、あなたが気になるどうしてもというなら、どうぞ見積もり取ってきてください、のやり取りして丸投げし返すのめんどくさいんだけど。ボロボロになってます！のときに返すシンプルで効果的なセリフはないだろうか。どうしたいんですか？とでも聞きますか。オープンクエスチョン。めんど。いや、次は試しにやってみるか。やらない場合どうなると予測していますか？　業者に頼んだらいくらぐらいですか？　自分でやる場合は？　質問攻め。明日までに調べてきてくださーい。上司か。いや、やはりこれはめんどいからスルー。

しっくりくる言葉を探している。

• どうもしてませんが

• さあ？

• なんの話ですか？

• どうしたいんですか？　どうぞやってください。

どれもしっくりこない。完全に分離して関わり合いたくない。

私自身はどうするべきか方針は決まってる。冷媒管などを巻いてるあのテープは急がなくていい。冷暖房効率は落ちる。いずれ銅が腐食するけれどだいたいはその前にクーラーの取り替え時期が来る。夫の所有で、相続税が払えなかったらきっと手放す必要があるアパートなので尚更今やる必要はないし、こんな寒い時期に急ぎでもないのに業者さんを働かせるのも申し訳ない。そんなに気になるなら自分でやればいいのにね。いくらでもテープの巻き直しについて、やり方YouTubeで見れるけど。

暖かい時期になったら自分でテープ巻き直しでもしますか、ホームセンターで売ってるし安上がりでしょうって言ったら、危ないとか難しいとか言い訳してくる。ええ〜そんな場所が危ないんだったら業者さんに頼んだら巻き直しごときにすごくお金かかりそう。

思い出してはイライラし、イライラすると字が上手くいかない。

ずっと書いてると、ちょっとずつ心が落ち着いてくる。これ、私が自分でなんでも引き受けてしまう考え方してるから腹が立つんだわ。さぁ？　私がやることですか？　知りませんねとか、私はこの件の責任者でその責任のもと巻き直しをやるつもりないけど、それを懇切丁寧に説明する義務は全くないよね、と自然と思えるならイライラもしない。言われたからやらねばならない、やら、説明責任を果たさねばならない、などと自動的に背負い込みがちなんだわ。責任感がありすぎるのも良くないものだね。これは、心を平穏に保つ修行でもあるな。嫌われる勇気に書いてたり、ミヒャエルエンデの鏡のなかの鏡に出てくる人のもの引き受けすぎて飛び立てなかった、あの感じ。

他人の無責任な感情や人生を引き受けない。

そうだ。服従しないこと、赦し、そして失敗を糧に成長すること。

穏やかな気持ちで５行を終える。写経やっぱりいいわ。