シク教徒はヘルメットが被れない問題
インド北部パンジャーブ州アムリトサル
〜ワガ国境とシク教徒の聖地黄金寺院を旅する妄想旅行計画4
シク教(シーク)とはどんな宗教なのか、簡単に述べるとヒンドゥー教から派生し、同じく輪廻転生を信じている。しかしヒンドゥーのカーストを否定し、同胞主義的な部分としてはイスラームに近い。つまり暴力的でデフォルメされた説明をするならば、この2つの宗教の影響を受けたハイブリット宗教である。
シク教は16世紀に始祖ナーナクによって、このパンジャーブ地方に起こされた宗教だ。シクとはサンスクリット語で弟子という意味である。18世紀までに現在のシク教徒の形が出来上がったとされている。シク教徒といえばターバンと立派に蓄えた髭であるが、これは彼らの教義で体毛を剃ることが禁止されているからだとされている。つまりターバンは伸びた髪を巻き込んで形成されている。なんとこのターバンを理由にバイク乗車時や軍隊でもヘルメットの着用が免除されている。これは元宗主国のイギリスでも免除だそうなのだから面白い。
そしてアムリトサルはそのシク教徒の聖地である。その聖地にそびえるのがシク教のハリマンディル、通称ゴールデンテンプル(黄金寺院)だ。もちろん総本山があるだけあって、アムリトサルはシク教徒の住民が多い。またインドのみならず世界に散らばっているシク教徒の心の拠り所なのだ。この黄金寺院は異教徒でも参拝することができる。しかも無料で食事もさせてくれる。毎日10万食の食事を配膳している。まあなんと心の広い宗教なのだろうと感じてしまう。このゴールデンテンプルは、シク教でない僕らのような旅行者であってもドネーション(寄付、金額はいくらでもいい)で宿泊することもできる。
ゴールデンテンプルの建築様式はイスラーム建築とヒンドゥー建築が見事に融合されており、名前の通り金閣寺のように黄金に輝いている。その周りは白亜の大理石で囲まれ、その周りを不死の池で囲まれている。この不死の池の水がアムリトサルの名前の由来である甘露の水となっていると言われる。仏教にも登場するあの甘露である。ちなみに古代インド神話に登場する神々の飲み物とされる伝説のソーマ酒のこと。
シク教徒はヒンドゥー教徒と違い肉食に関しては原則自由である。しかし、イスラームのように酒は禁止。またヒンドゥー教徒と同じで牛肉は食さない。一般的なのは羊肉と鶏肉であることも、両宗教の影響があるのかと思うと面白い。シシカバブは主に羊肉の料理で、タンドリーは鶏肉料理と考えると、パキスタン・イスラームとインド・ヒンドゥーの国境都市であるアムリトサルは食文化でもハイブリットだとつくづく感じる。そして、このアムリトサルにはタンドール専門店がいくつもあり、地元のシク教徒に人気のお店もあって一度は訪れてみたい。
このようなアムリトサルで現在はインド・ヒンドゥー教・パキスタン・イスラームと敵対しつつも、少数ながらかつてこれらの融合させたシク教、地域に根ざした食文化もハイブリットという経緯を辿った地。このような土地を五感で感じ、体験し学ぶ旅が今回の妄想旅行計画だった。
読んでくれた人へ
今後、定期的にシルクロード横断日記や行きたいけど行けないという悶々とした気持ちで書いた、脳内妄想旅行の計画などをアップする予定です。お暇なときにでも、そちらも読んでやってください。ありがとうございました。スキをしてくれると僕のテンションが上がります。ファローしてくれたらうれション状態です。よろしくお願いします。人生の無駄遣い万歳^_^
HPやってます。いろいろな旅行関連記事を書いているのでよかったら寄ってみてください(^^)