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絶望的なほどの暇からの小樽上陸

バイクでGOGO北海道編 EP5

 カプセルホテルのような居場所で目を覚ます。船室には窓が付いているのだが、僕のベットからは遠く、また分厚いカーテンのおかげで時間の感覚が全くない。そう、それは若かれし日に初めてのラブホテル宿泊で得た感覚と一緒だった。腕時計に目をやると朝の7時を少し回ったところだった。日頃の習慣とは怖いもので、この際、どうせ夜の小樽到着までやることもないのだからしっかり寝ようと朝は10時越えを狙っていたのだが、日頃の習慣と老化が僕の企みを難んだのだった。

 ボーッとしながらとりあえず絶滅危惧種である愛煙家の僕は、喫煙所にブラックコーヒーのペットボトルを片手に向かっていく。うん、すっかり初老だななんて感じながら、締めっきた部屋に充満する副流煙をたっぷりと吸いながら、僕は紙タバコに火をつける。窓の外には昨晩とは違って、朝日を反射する海面がどこまでも続いている。さあ、やることがないぞと自問自答しながら、とりあえずスマホを覗き込むも、やはりそこは圏外であった。

 とりあえずお腹が空いているわけでもないのだが、カップラーメンを持って給湯室へ。自分のお腹の空き具合に関係なく、朝に何かを口にするというのもまた、日頃の習慣の賜物だろう。僕は再び船内を散歩してあらかたやることがなくなった30分後にベットに戻る。そして文庫本を取り出し、ひたすらに文字を追っていく。しばらくしてコーヒーと喫煙所、そしてまたベットで文庫本というルーチーンを繰り返した。昼になり、フェリーに乗る前に買っていた煎餅をボリボリとしながら文庫本を読み進め、気がつけば夕方になっていた。

 そんな中、僕はなぜか急に大を催し、トイレで一息つくもフラッシュボタンを何度押しても水が流れないというアクシデント見舞われ、狼狽しながら船のスタッフにそのことを告げる。しかしスタッフは慣れたそぶりで、トイレの位置を僕から聞き、「こっちでやっとくんで問題ないです」と返答してくれた。うん、これは間違いなく日常的に起こっているフェリートイレあるあるなのだろうと思った。人間は出せばまた腹が減る。ということで夕食も給湯室でカップラーメンを啜ることで終了した。

 そしてフェリーはいよいよ小樽港に近づき始めた。これまでののんびりモードから周りにいる人たちの動きも変わり、何だか臨戦モードに入ったようだ。僕らも一通りのパッキングを済ませ、あとは船内放送で指示が出るのを待つだけとなった。僕らはまだ船内放送もかかっていないのに、ロビーのようなところで待とうと部屋を出たのだが、みんなよほど暇だったのだろうか、すでにロビーは人で溢れていた。

 そこからさらに30分ほどして、バイク乗り達に駐輪場に降りてくださいの船内放送が入り、みんな荷物を背負いながらゾロゾロと船の底の方にある駐輪場に降りていく。まずはマイバイクが倒れてないか、また何処か不具合がないかを確かめながら、荷物をバイクにしっかりと固定していく。そこからさらに30分ほどして、誘導員から指示された順番にバイクは港に続々と降り立っていった。

 僕らも後に続き、フェリーから降りるとぶっちゃけ方向感覚もわからなくなっていて、何となく多くのライダー達が向かう方向へバイクを走らせた。北海道ということで、真夏とはいえ本州と比べ大分寒いのかと勝手に想像していたのだが、気温も湿気も大して変わることがなく、着込んだ上着が僕の下着を汗ばませていた。そして、気がつけば多くのライダー達がいたはずなのに、僕らの周りにはバイクの一つも居なくなっていて、僕らが目指さなければならない、本日の宿であるライダーズハウスがある小樽駅はその気配すらなかった。

 道路の脇に止まりスマホで確認すると、どうやら僕らは正反対の方向に走っていたようだった。そして再び、小樽駅を目指し初めての北海道を走り始めた。

読んでくれた人へ
 今後、定期的にシルクロード横断日記や行きたいけど行けないという悶々とした気持ちで書いた、脳内妄想旅行の計画などをアップする予定です。お暇なときにでも、そちらも読んでやってください。ありがとうございました。スキをしてくれると僕のテンションが上がります。ファローしてくれたらうれション状態です。よろしくお願いします。人生の無駄遣い万歳^_^
HPやってます。いろいろな旅行関連記事を書いているのでよかったら寄ってみてください(^^)

 

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