鼻歌
「風呂に入って歌うと、ええ感じに
響いて歌が上手い気がする〜🎶」
小学校の頃、隣のクラスの
愉快な先生がそう言っていました。
でも、先生の声は
とても大きいので
長く歌っていたら
奥さんから苦情が出るのだとか。
聞いてみたら試してみたい。
その夜、お風呂の順番が回ってきて
体を綺麗に洗って、湯船に浸かると
ちょっとドキドキしながら
布施明さんの「シクラメンのかほり」を
極々小さな声で歌ってみたら…
ほわわわん。
と、湯気の中で
自分の声が反響している。
確かに…ちょっと気分がいいなぁ。
母が湯船に浮かべていた
八朔の皮をつんつんしながら
心地よく歌いました。
お風呂から出ると
お茶を飲んでいたおばあちゃんに
「ラジオかと思ったら、あんたが
歌っとったんじゃね。なかなかじゃ。」
と、笑顔で言ってくれたのですが
そんなに、上手くない歌を聞かれた事が
恥ずかしくて、あれからお風呂で歌わなくなりました。
…が、昨夜
ぬるいお湯を張った湯船に
ラベンダーのバスポプリを浮かべて
そこに目を閉じて入っていたら
とても心地よくなって
自然と小さな鼻歌が出ていました。
曲は、何故かあの日と同じ。
特に感想を言ってくれる人は
もういないから、
あの頃、もっとおばあちゃんの隣で
色んな歌を歌ってあげれば
よかったかなぁ。
超長生きして
今もいてくれてたなら
ウクレレを弾きながら
一緒に、おばあちゃんの大好きな
山本譲二さんの「みちのくひとり旅」を
ふたつの鼻歌で歌ったら
楽しかったかもね。