見出し画像

言うか言わないか。

前回からの続き。

全国大会で監督をした。その試合はなんとか勝利。
翌日からは本当の監督が戻ってきた。戻ってきた日は朝と夕方の2試合あった。


仕事を任されることに

前日の勝利が配属先同僚の目にはとてもよく映ったようで、戻ってきた監督も喜んでいた。
当たり前だけど、「昨日はありがとう」というような言葉をかけられることはない。求めることでもない。笑

監督が戻ってきた日、その日は朝に1試合、夕方に1試合の計2試合だった。朝の試合は力の差がありスムーズに勝てそうだったが、夕方の試合の相手はとても強そうで苦戦が強いられるもしくは簡単に負けることもありそうだと予想した。

朝の試合。
試合開始直前に監督から「スタメンを書いてくれ」と紙とペンを渡された。
『なぜ?』
理由は分からないけど、監督のあなたがやってよと言っても紙を受け取ってくれないので仕方なく私が書く。とは言っても前日までのスタメンと同じにした。

試合は予想通りにこちらのペースで進んだ。
試合中監督から、「選手の交代はしないのか?」と聞かれる。
こっちが聞きたいよ!!
選手交代も私に任されていたらしい!

常にリードしていた試合展開だったので前日よりも余裕を持って選手交代ができた。
でも、なんで私が全部指示出してるの?

試合後、次の試合も同じようにやってと言われる。
まぁやるけど、何で私がやってるの??


勝負の2試合目

朝の試合に勝ったことで予選グループ戦での2位以上が確定し、夕方の試合で1・2位が決定することになった。勝っても負けても翌日からの決勝トーナメントには進出できる。

夕方の試合の対戦相手はバッタンバン州代表チーム。
跳んでから打てる選手やボールをしっかり叩ける選手もいて強そうだし、監督もチームを盛り上げるタイプでよくまとまっているように見えた。

朝の試合同様にスタメンを考え選手交代の指示をするのも私。
試合展開は、常に劣勢の雰囲気だったがお互いのミスもありフルセットまでもつれた。
勝っている時は優勢の雰囲気でやりたいよね。。。

この試合も何度か選手交代の指示をした。
調子が上がらない選手や、ミスが続くことにより明らかにやる気をなくしてしまう選手に対して交代を告げることが多い。

監督自身も勝ちたい思いもあるだろうから、私がベンチの選手に交代のタイミングと交代の選手をあらかじめ伝えて準備させていてもそれを無視して、いきなり交代させる。

「え。私が選手交代考えてますよ。彼女は○番の選手と後で交代させるつもりだった。彼女にもそう伝えていたのに。」
怒りの感情をできるだけ抑えて監督に伝えるも、
「まぁまぁええから。」
というような返事が返ってくる。

選手を交代させるのは悪いことではない。監督なりの考えがあるだろうし。
でも、でも。彼は私にそれを任せていた。
断っても彼は私にさせようとしていた。
それなら全部任せて欲しかった。
何より選手が混乱する。


怒りを抑えて監督に伝えようとするも、うまく伝わらない状況から私の怒りは増すばかり。
試合はフルセットで負けた。
選手たちはとても疲れていた。そりゃそうだ。1日に2試合やる体力なんてない。5セット戦う体力なんてないのよ。(3セットマッチでもいいんじゃないか。と思う)

対戦相手が大喜びする姿に選手たちはより一層悔しそうだった。
でも、悔しい思いをしたらいいと思う!その経験が大切だ!

それにまだ明日試合ができる。頑張ってほしい!


翌日怒り爆発

翌朝、決勝トーナメントが始まった。
予選グループを2位通過している我がチームは違うグループの1位と対戦。
練習を見る限りボールタッチが上手い選手がいる。
対戦相手は隣の州のトボンクモン州代表チーム。

試合前練習のスパイクの勢いが違う。角度が違う。ボールの重さが違う。
前日の疲れも残っているチームの選手たちはとても眠そう。体も重そうだ。でも頑張れよ!

試合は相手チームの一方的な展開に持ち込まれた。
粘り強いレシーブをしたとしても、最後には力でねじ伏せられる感じ。
選手たちは頑張っていたと思う。でも力の差が大きく太刀打ちできない。
試合の流れをなんとか変えるのは、タイムアウトか選手交代しかないと思った。
この日もスタメンや選手交代、(さらにはタイムアウトのタイミングも)を任されていたので前日同様考える。
でも心の中では、私が考えていてもどうせ監督が違うやり方するんやろ、とも思っていた。

案の定。案の定だ!
監督は昨日と同じように選手交代を準備していた選手に違う選手との交代を指示した。
もうここで私の怒りは収まらなかった。
「昨日と同じだけど私は考えている。ベンチの選手に交代を指示している。あなたの考えで選手交代させるなら私はもうやらない。もう考えない。」
ということを伝えたかったけど、伝わってなさそう。
監督は、何で怒ってるの?という表情でポカーンとしていた。笑

3セット目、スタメンを書く時に私は用紙を監督に返そうとした。でも監督は受けとらなかった。
本当に私が考えていいのか。何度も確認し用紙に記入した。
どうも調子が上がらず、コート内で一番暗い表情の選手をスタメンから外した。(プレーできないのは仕方ないが、暗すぎる表情はダメだ。。。それなら他の選手が出てもいいんじゃないかと思う。)
すると、「あの選手は今日は体調が悪い。だから出れない。」と監督から聞かされる。ほんとかよ。

その3セット目、スタートから相手チームに走れる。1点も取れずにタイムを取ろうとした時、監督が選手交代を要求した。
まさかの体調不良のあの選手だった。
え?!マンガでよくあるような、頭から ? がたくさん出た。
選手交代を監督がしたこともそうだし、体調不良だから出れないと聞いていた選手がコートに送り込まれたことも謎だらけだ。


怒りをメモする

ここまでに怒りが溜まってしまっていた私は、この怒りを監督にきちんと伝えたいと思った。
怒りをぶつけたいというよりは、監督は私がなぜ怒っているのか分かっていないように見えたので、理由を伝えたいと思った。

この時の気持ちを忘れないように、また正しく伝えるために、スマホにメモっていた。
監督にうまく伝わらなくても、配属先の同僚には言おうとも思っていた。
「日本人がなんか怒ってた。理由は分からないけど。怒る必要あったか?」というように思って欲しくなかったのだ。

メモも終盤に差し掛かり、クメール語に訳そうと思っていた時ふと、

これを伝えることに意味あるんかな?

と思った。
私は、自分が怒っていた理由を理解してほしいと思った。変に怒っている外国人と思われたくなかった。
本来なら監督のする仕事(と私は思っている)をコーチの私は任され、その仕事をしようとしたけど、監督がやるので私は混乱したし、選手を混乱させてしまった、ということを伝えたかった。

ただ、このことを伝えたとして、その後どうなる?!
自分の仕事を人に任せ、さらにその仕事を取るなんて私にはなかなか理解できない。
でもこれは日本人だからそう思うのか?私だからか?
カンボジア人にこの感覚は理解してもらえるのか?難しいのではないか。
私が激怒したのは、練習の時から監督にストレスが溜まっていたことも原因としてある。


結論

結果、カンボジア人の誰にも伝えることをしなかった。
(この怒りをほぼリアルタイムで聞いてくれた人、ありがとう🙏)
言っても理解してもらえないだろう。と言う気持ちがまさった。
何としてでも伝えたいという気持ちにもならなかった。
これはカンボジア人に対しても申し訳ないけれど、今まで関わってきた結果抱いた感情だった。

諦めの感情を持っている自分にも嫌な気持ちになった。
こういうところで踏ん張るのが協力隊なんじゃないか、とも思った。

モヤモヤが残るばかり。。。

言うか言わないか。
言わない選択をしたのだからもうこのことで監督や同僚に色々言うのはしない。
グチグチ言わない。(その代わりnoteに書いた。笑)

完。


いいなと思ったら応援しよう!