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語学は母語を豊かにする

私がフランス語を始めたきっかけは、
テレビでソムリエを見たことだった。
色、香り、味を詩的に表現する言葉の巧みさに惚れた。発音もきれい。

勉強しはじめてわりとすぐに気づいたのは、類義語の重要性。大学院の先生いわく「同じ言葉を繰り返すと馬鹿っぽいと思われる」とのことで、授業で扱うテクストで見比べてみてもだいたい3つの類義語を使いまわしている。
Paul ポール
le garçon 少年
il 彼
すごく単純な例だけどこんな感じ。


(これはフランス語が難しい理由のひとつだと思っている。とにかくたくさん単語や熟語を覚えなきゃならんのだ)


仏検のホームページに類語についてのコラムがあったので貼っておく。


作者がフランス語を知っているかはわからないけど、最近読んで「お手本のような類語の活用!」と思ったフレーズ

南へ行けば、広大な乾燥地を縦断して、ギランの港町にいたる。東へ馬の鼻をむければ、遠く東方国境にいたり、シンドゥラやチュルクの軍と対峙するキシュワードやバフマンの部隊に合流することができるだろう。西へおもむけば、西方国境を守る歩兵中心の部隊がいる……。

田中芳樹『王子二人 アルスラーン戦記2』

「行く」「馬の鼻をむける」「おもむく」
まさに3つの類語……

作者はもしかしたら感覚でやっているのかもしれない。けど、私はフランス語のおかげで類語をすごく意識するようになったからこそ、これに気づいたのかもしれない。

ドイツ語、英語にもそれぞれ特徴的な傾向がある。
今後も外国語学習は日本語を書くことにも活かされていくことだろう。


(余談だけど、フランス語学習前に大江健三郎に挫折したことがある。ある程度勉強してから見たらこれフランス語の言い回しじゃんていうのが結構あった)

引用
田中芳樹『王子二人 アルスラーン戦記2』光文社文庫、2012年

2024.11.17

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