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女性女系天皇容認論への反論
Q1,現行の皇位継承法は女性差別にあたる。
A, 女性差別ではない。天皇には男性しかなれないが、皇后には女性しかなれない。女性皇族が婚姻に伴って皇籍を離れるのも差別にはあたらない。
・親王及び王殿下→皇族として生まれ、生涯を皇族として生きる。
・民間人の男性→一般国民として生まれ、生涯皇族にはならない。
・内親王及び女王殿下→皇族として生まれ、結婚に伴って皇籍を離れる。
・民間人の女性→一般国民として生まれ、結婚に伴って皇族となる。
よって総合すると、どちらかに一方的な不利益があるわけではない。
Q2、男系継承は一夫多妻制だから可能であった。
A, 当時は医療が未発達であり、乳児死亡率もとても高かったために側室が必要とされた。成人した皇族数でみると現在とあまり変わらない。
実例:第119代光格天皇から第122代明治天皇までの皇子・皇女の人数と成人された皇族の人数は以下の通り。
光格天皇→19人誕生、成人されたのは2人(資料によっては1人)
仁孝天皇→15人誕生、成人されたのは3人
孝明天皇→6人誕生、成人されたのは1人
明治天皇→15人誕生、成人されたのは5人
現在は医療が発達し、乳幼児の死亡率が大幅に低下しているので一夫一婦制でも問題ない。
Q3,ヨーロッパの王室はジェンダー平等を実現しており、日本は遅れを取っている。
そもそもヨーロッパの王室はジェンダー平等ではない。君主と王族の称号に非対称性が存在する。
①男性が君主となった場合→配偶者の女性はクイーンになれる。
(クイーンは女王と王妃、キングは国王と王配どちらも意味する。)
・一方で女性が君主になっても男性はキングになれない。
(基本的にはプリンス止まり。陛下ではなく殿下のまま。)
実例:イギリス王室
チャールズ国王(King Charles Ⅲ)陛下とカミラ王妃(Queen Camilla)陛下
エリザベス女王(Queen ElizabethⅡ)陛下とフィリップ(prince Philip)殿下
②王子と結婚した女性はプリンセスになるが、王女と結婚した男性は相手が王位継承者でない限りプリンスにはなれない。(ただし若干の例外あり。)
実例:スウェーデン王室
カール・フィリップ王子と結婚したソフィア・クリスティーナ氏は
プリンセスの称号が与えられたがマデレーン王女と結婚したクリストファー・オニール氏は平民のままである。
Q4,国民の大多数が支持している。
A, 皇室は過去・今・未来をすべて包括しており、現時点での国民の声のみで決めるべきではない。例えば1960年代は学生運動や革命闘争が激しく、 反天皇制も盛んに主張されていた。しかし、現在ではそのような声はあまり聞かなくなった。もしそのときの民意を優先していたら今頃皇室はなかったかもしれない。
Q5,男系男子による継承は明治時代にできた新しいルールである。
A, 男系継承は初代神武天皇からのルールであり、明治時代に始まったものではない。(近代の法律として明記したのが明治時代)。さらに、江戸時代の禁中並公家諸法度でも女系相続を禁じている。(慶長公家諸法度でも男系継承を古からのさだめとしている。)また、これまでの女性天皇はすべて男系女子によるものであり、女系天皇を容認する根拠にはならない。なおかつ平安時代(794年)が始まって以降、現在に至るまで女性天皇は御二方のみであり、一般事例にもならない。(なおかつ即位の事情が特殊である)
Q6,旧皇族はすでに民間人となっている。
A,民間人から即位された天皇がいらっしゃる(第60代醍醐天皇)。それに復帰した旧皇族ご本人が即位される可能性は相当低い。(悠仁親王殿下の次の代となるため)
Q7,旧皇族方は、現皇室とは血縁が遠すぎる。
A, 伏見宮貞敬親王殿下は先帝(後桃園天皇)とは20親等以上離れていたが、皇位継承の有力候補となった。他にも25親等以上離れた皇族が宮家を継承した事例が存在する。(閑院宮愛仁親王殿下から閑院宮戴仁親王殿下への継承)
Q8、直系継承を優先すべき
A,継体天皇や後花園天皇、光格天皇は傍系からの即位である。皇室は他国の王室と比較しても傍系継承の割合が高い。
以上男系継承派による主張をまとめてみました。なかなか難しい問題だと思うので、議論の一助となれれば幸いです。