年末調整ってなんだ~従業員編~
お世話になっております。AWA CONSULTINGの笹倉です。
税理士法人での勤務が長かったので、社労士になった今も年末調整について質問されることが多くあります。今回は、ふわっと従業員側の年末調整がわかる内容にしたいと思います。
要は税金の計算
世界中の国の例に漏れず、日本に住む人は税金を納める、納税の義務があります。代表的な方法に『確定申告』があり、これは喩えるなら所得税のスペシャルエディションで、あらゆる所得(儲け)を計算できるシステムになっています。
しかし、日本人の大半を占める給与所得者にとって、この確定申告はオプションが多すぎてややこしい代物なのです。そこで、いわば給与所得者限定の『簡易確定申告』が年末調整となります。
なので、給与所得者でもオプション的な所得や所得控除がある場合、確定申告は必要です。年末調整をしているから確定申告が絶対に免除されるわけではないんですね。
あの会社から渡される3~4枚の紙は何?
細かい部分は国税庁のHP等を見てもらうとして、ここではふわっと説明します。
あれはいずれも『税金を安くする為の書類』です。なので、めんどくさいから書かない、というのは悪手です。毎月の給与から所得税が引かれていると思いますが、あれは、毎月の給与から暫定的な所得税を引かれているに過ぎません。この紙をきっちり仕上げることで、12月や1月の給与明細にある『還付所得税』が増えることもあります。
何故税金が減るかと言えば、①扶養等にかかる負担を税額に反映 ②国の政策 の2種類があります。
①扶養家族がいる場合、その生活費を負担しているから『給与の内、その負担額相当は会社からもらっていないものとして扱うよ』というニュアンスです。(厳密には違いますが、給与所得者の視点で書きます)負担額相当は、一律にみなし計算されています。
さらに、ご自身や扶養家族に障害がある場合や、離婚をされた女性の場合、特別な減額計算が入ります。これは会社から従業員に聞きづらいことでもあるので、例の紙に書いて自己申告するようにしましょう。
②社会保険や生命保険等も、その種類によって『給与として扱わない』制度が決まっています。これらは支払った先から『控除証明書』が必ず送られてくるので、大切に保管して『給与所得者の保険料控除申告書』と一緒に会社へ提出しましょう。
この時躊躇するのが、転職した際に一時的に払った国民健康保険や国民年金の控除証明も出して良いのか? という例ですが、全然OKです。但し、のちに還付された(還付される予定)の保険料はNGです。正味負担した金額のみ申請しましょう。
家族名義の控除証明書は、一緒のお財布で暮らしている親族等では使える場合もあります。が、生命保険の場合、契約内容によっては贈与と見なされる場合もありますので、その点だけ注意しましょう。まあ、一般的な保障内容なら殆ど問題ないです。
社会保険という国や行政機関が運営している保険は、支払った全額が給与から引いてもらえます。民間の保険会社の場合は払ったものの半分弱、且つ上限4万円×3区分=12万円を限度として『給与ではない』扱いをしてくれます。
年末調整の全体像
上記の書類を提出すると、後は会社が勝手に年末調整をやってくれます。そのあとの会社の処理もちょっと見てみましょう。
会社は全員分の所得税確定額を計算し、この総額を税務署に申告します。この時、一定の条件に当てはまる人のみ、個人の源泉徴収票が税務署に送られます。つまり、多くの給与所得者の個人税額について、税務署は把握していません。ちょっと驚きですね。
しかし、皆さんの所得状況について、市町村は知っていますよね? あれは、年末調整の結果である源泉徴収票を、会社から市町村向けに全員分報告しているからなんです。
役所ではその源泉徴収票を受け取り、1~4月くらいまでかけて住民税の計算をします。そして会社に対し、6月分の給与から、前年の所得に基づいた住民税を天引きして役所に納めるよう依頼をします。
ん? 税務署が個人の所得を把握して、市町村に伝えれば良いじゃないか??
その通り!!
仲良かったらね・・・