アンコール 2 「彼女」
駅前の商店街にはドラックストアやコンビニ、弁当屋、小さなスーパーが何店か並んでいて、周囲にはマンションやアパートが並んでいる。
その、明るい方ではなくて、隣駅まで続く道のある、暗がりになっている方へと行ってみると、あったのだ。
看板はなかったけれど、地下に下りて行く階段があり、その窪みの終わりには木で出来たドアが見えた。
バーなのかどうなのか、何故わかったのかと言うと、女性の歌う声が聴こえて来たからだ。
その歌を、道っ端に突っ立ったまんまなんとなく聴いていたら、演奏が途切れ、その歌声の持ち主が挨拶をした。
もちろん、外にいる自分に向かって挨拶をしたわけではないのだが、まるで話しかけられたような気分になって、自然と足が動き、気が付いたら階段を下りてドアを開けていた。
― 今日は週末、良かったら明日の朝まで楽しんで、…あたしとの、くだらない時間を。