アメリカ在住者と日本の銀行口座
最近本当によく耳・目にするようになった
海外在住者の日本の銀行口座が「凍結された」とか「内容は不明だが電話連絡が来た」などのお話
これは日本政府の政策のゆえなのか?
それともアメリカのForeign Account Tax Compliance Actのゆえなのか?
私なりに考えてみた。
アメリカ市民とGreen Card保持者と海外資産
アメリカのTax Returnでも少し触れましたが海外にあるアメリカ人及びgreen card保持者の金融口座はアメリカ政府に報告義務があります。
FBAR と FATCA(Form 8938)の二種類ありそれぞれ似ていて別物です。
アメリカに居住している方(GreenCard保持者)は海外にある1日でも$10,000以上残高があった金融口座、主に銀行口座をアメリカ政府に届け出る必要があります。FBARは正確にはIRSに対する書類ではなく、Financial Crimes Enforcement Network(FinCEN Form 114)の届出です。Tax Returnする必要がない年・個人でもFBARはそれとは別に届け出る必要があります。
FBARに含まれる金融情報は生命保険や年金を含むほとんどのお金の流れ情報です。
それに対しFATCA(Form 8938)はUS Tax Retuenの一部です。
アメリカに住んでいるのであれば
資産額
独身なら年末日に$50,000以上又は1日でも$75,000以上
既婚者なら年末日に$100,000以上または1日でも$150,000以上
その資産から得られた所得または別の不労所得は報告すること。(Form 8938 または 通常のForm 1040にて。)
その年の最後の日の為替レートでドルに換算しその額を報告すること。
投稿する為に調べてかなり抜粋しているので該当する方は責任を持ってきっちりともっちりと調べて下さい。
U.S. Personsに分類された個人または企業はアメリカ国外にあるすべての金融口座情報をアメリカ合衆国財務省に届けなくてはなりません。
U.S. Personsとはアメリカ市民はもちろんなのですが、Green Card保持者も対象になります。
各国金融機関とアメリカ合衆国財務省
大まかな流れは日本の金融機関がアメリカ人又はグリーンカード保持者の口座情報を日本政府に届け出。
そして日本政府がアメリカ合衆国財務省に提出。
これが日本の銀行の口座名義人の住所確認が厳しくなっている理由の一つではないかと勝手に思っております。
金融機関側はマイナンバー前時代は口座名義人についてそれほど強く把握する必要がなかったのがおそらくここ数年、アメリカ政府→日本政府→各金融会社に世界資産確認強化の通達が行ったのではないかと。
戸籍へのフリガナ、マイナンバー、住民票で日本在住者かそうでないかを調べ上げ、アメリカの要求に対応していくのでしょう。
日本国内の租税対策にもなりますしね。
政府としては悪い話ではないのでしょう。
今まで金利がつかなかったので銀行口座からの所得が壊滅的ゆえに税金はほとんど発生しようがなかったですが、金利が上がれば即それは納税対象になるのに今のままでは何が何だか???誰に金利が支払われているのか不明すぎ。
AさんがAとA'とA''名義で口座作れる状況のようでしたから。
先進国にはあるまじき租税形態で非常に原始的な日本がここに来て一気に先進国の水準まで引き上げるのに国民は色々振り回されしまうよね。
2013年より施行されたForeign Account Tax Compliance Act (外国口座税務コンプライアンス法)
これが始まってから欧州各国の銀行の多くがその手続きの煩雑さと経費の高さで欧州に住んでいるアメリカ人への口座提供を廃止しました。
特に小さな地方銀行はその傾向が強かったようです。
この時期、欧州で市民権を取得していたアメリカ人多重国籍保持者はその不便利さに耐えられずアメリカ国籍を捨てる決心をした人もいたようです。
そんなことを思い出していて
ふっ、と思う
二重国籍を認めていない日本には結構な数の隠れ二重国籍者がいると思うのですがどう日本政府は対応していくのだろうかと?
アメリカ合衆国と日本国、隠れ二重国籍者
アメリカ国籍を自分の意思で取得した日本人はその日から日本人ではなくなるのですが手続きは自己申告です。
隠れ二重国籍でもアメリカに在住している&日本での所得及び資産が無いのであればそれほど問題ではないと言えます。居住国が多重国籍を違法としていないですのでね。
日本に一時的に短期で訪れるのはアメリカのパスポート利用であればアメリカ人として日本に入国しているので法を犯してはいない。
(日本のパスポートを取得するまたは利用するのであれば旅券法違反になってしまいます。)
しかし、アメリカ国籍取得後に日本政府に黙って日本に日本人と住むことは違法滞在となります。
そこで銀行口座を日本人として開くまたは維持した場合、アメリカのFBAR違反にも繋がりかねない。
カナダ在住のカナダ国籍とアメリカ国籍の二重国籍がFBARをきちんとしなかった3年のペナルティとして
US $860,300請求された。カナダドルでなくUs$。
日本との二重国籍だから日本に居ればアメリカ人に求められるものからは隠れられると思っていたらそれは大きな間違いです。
もし何らかの形で(そんなことが可能なのか不明ですが技術進化で可能となるのは近い未来でしょう)アメリカ人でもある二重国籍者がFBAR違反を犯したのが発覚した場合、日本の銀行は知らなかったと言えば許されるのか?
日本は二重国籍を認めていないけれどもそれに対して積極的に違反者を取り締まってはいないので存在しないはずのものが日本国内にウヨウヨいて
それは日本にとっては問題(あるけれど、みないふり)ないから放置されているが
Foreign Account Tax Compliance Act通じて責められたら一体日本政府はいくらアメリカ政府に支払うことになるのだろうか???
笑って許してくれる国じゃないからな、アメリカ合衆国は
アメリカにとってはこの場合(その法のいやらしさは別として)法に則っているのに対し、違反している人(隠れ二重国籍者)は戸籍法違反、旅券法違反、出入国管理及び難民認定法違反、という犯罪を既に犯している上に日本に住む人々の税金で問題解決(アメリカへの罰金支払い)しなければならない可能性大というなんだか、やりきれない感満載の誰も嬉しくない結果になりそうなので
べきだと私は思うのです。
そうでないと、各金融機関、既に経営方針を自主的に決める決定権を持つことも難しい政府・官僚方針一辺倒な(考えることを放棄した)状態なのに更なる利用者への混乱を導き利用者の不安を煽ることにもなる。
自国の金融機関の信頼が落ちるということは先進国とは言えない状況になりますのできちんと国として対応するのが望ましいと思う。
私のまとめ
銀行は預金額が命のような考えがあり、
それゆえに海外在住時でも日本の口座は維持されると思われるのでしょうが、海外在住の内容にもよります。
アメリカ在住とはいっても労働ビザで滞在の場合は永住者と扱いが異なります。学生ビザもまた然り。
ですので一概に海外在住だからという理由で解約になるのはおかしいとは思います。ただアメリカ(他の国は調べてないので良くわからないですが)の法律に従い報告するその経費と報告漏れの場合のペナルティーは半端ではないことは確かなので、出来れば面倒ごと回避のためと経費削減のためお断りしたくなるのでしょう。
預けられた額と維持費の差が割に合っていないのでそんなお金のかかる口座は解約に向かうのがビジネスの常識です。
諸外国政府の自国民の世界資産把握の傾向を考えると日本における海外在住者の銀行口座は外国対応の窓口としてメガバンクのみの扱いになっていくと思われます。
しかもそれは口座維持費がかかる口座となる可能性もあると思います。
私が銀行経営をするならそうします。
税金は必要かどうか税率はどうかという話はまた別の問題でそこを論じてはいません。しかし、現状では去年より増えたお金(ぽいもの)には何らかの税金がかかります。それに対して何も支払っていないのであればそれは何かがおかしいと思うべきです。
沢山の控除があります(アメリカは年々色々な控除外されてきていますがそれでも税率90%超えに比べればマシ)ので色々学んできちんとしましょう。
学校に行って色々学ぶのはこのためだよ!(てきとー)