【58歳、転職がんばる!!】 #05 引退
今日は一緒に仕事をしている広報さんの話。
彼とは生まれの年は違うけれど、いわゆる同学年というやつ。つまり、タメだ。それもあって、いろいろと話が合う。そんな彼が今の会社の方針に堪えかねて、転職することを決意した。
広報一筋にやってきた人なので、十分すぎるほどにキャリアがあり、人脈もあれば、危機対応能力から危機回避能力も持つ現場たたき上げで、百戦錬磨の凄腕だ。数々の武勇伝(失敗話?w)を聞かせてもらった。しかも、独立経験もあり、前職では代表取締役だったらしい。経営者になると数字を背負わないといけなくなるため、純粋に広報の仕事をやりたくて退職し、この会社に入ったという。
もちろん、すんなり入れたわけではない。自分と同じく、何社も応募して、その都度、書類選考で落とされていたそう。そんな強者であっても、やはり年齢がネックになると語っていた。だから、最後の職場として、持っているものを全て置いていくつもりで、この会社に入ったとも言っていた。
それだけの決意と覚悟を持って入社したのに、だ。現実に幻滅したということなのだろう。何よりも切ないのは、養う家族がいるだけに、それなりの収入が必要となるため、広報職は断念して、転職サイトから届くスカウトメールに応募してなのか、すでにタクシードライバーとして内定をもらっているそうだ。とはいえ、観光案内系のドライバーで、もともと興味はあった仕事らしい。
しかし、彼は言う。
「本当にやりたいことではないのですが…。
プロ野球選手が引退するようなもんですよ」と。
そして、そういう意味では、諦めがついていると。
世間的に定年は60歳。もしくは65歳。再雇用制度で65歳というのもある。時代の流れを考えると数年後には、定年は70歳になる可能性は高い。そうなると、あと10年ほど働かないといけない。
本当にやりたいことではない仕事を、この年齢でやるというのはどういう感覚になるのだろうか? 今まで好きな広報の仕事をずっとやってきたのに。引退とはいえ、燃え尽きたわけでも、体力の限界が来たわけでもない。まだまだできるし、やる気もある…あっ、トライアウト失敗ということか!? 確かに、引導を渡されたわけじゃないが、それによる引退もあるわけだ。それが人生だと言えば、納得もできる。60年近く生きてきて、嫌というほどに、そういう苦水を飲んできたから。
まったく他人事じゃないよな…。
引退して新天地か…。
自分も選択肢の一つに、入れておかないとあかんのやろな。