制限練習
普段通り、寝る前に電気を消した。
「なにも見えない」
いつも感じる当たり前のことだけど、急に凄く怖くなった。
目を開けているのになにも見えない僕は、自分がちゃんと目が見えるのかを確認したくてしょうがなくなった。咄嗟に電気をつけなおし、ほっとした。
この体験を通じて僕はふと考えた。
「サッカーに活かすことができるのでは?」
視覚だけに限らず、いつもサッカーをする時に、当たり前のように使ってる体の部位のどこかに制限をかけてみる。
その制限を解放することによって、能力の向上に繋がるのではないかとひらめいた。
例えば、片目を塞ぎながらドリブル練習を行う、両手を体の後ろで組んだままパス練習をするなど、自分の身体操作に制限をかけて練習する。
そんなことを考えていたら、実際に試してみたくなり、友達を誘ってサッカーをしに行くことにした。
場所を探していたら、制限練習に適してそうな公園を見つけた。
雨で濡れた芝生半分と土半分のピッチ、小さい遊具が2、3個、さらに夜で暗く視界が悪い時間帯で、制限練習するにはこれ以上ない公園だった。
早速、対人形式でサッカーを始めた。
濡れた芝生では、スピードを上げてプレーしようとしたら滑り、土では、ボールを思ったように扱えずバウンドし、視界が悪い中では、相手を交わした後に遊具に引っかかった。
凄く繊細にプレーしないといけなくなり、体にかなりの負荷がかかった。相手からボールを奪われることも度々あった。
結局、思ったようにプレーできないまま練習時間が終わってしまった。
本当に勉強になった。
昨日のアルゼンチン代表にも感じたが、南米の選手が飛び抜けて上手いのは、自然と制限練習を行うような、様々な環境でプレーしてきたからではないだろうか。
そんなことを思いながら、メッシのW杯優勝に感動しつつ、制限練習を通じて上手くなった僕は4年後に日本代表をW杯優勝に導くことを決意した。