高橋泰城先生 6/26 行動科学概論
・なぜダイエットは明日からなのか?
ダイエットは今すぐ始めても効果はすぐには見られないが、今すぐ始めることで後で効果が出るものである。つまり、今の「楽さ」を得るか、後の「痩せる」ことを得るのかを選ぶことになるが、多くの人は目先の前者を選んでしまいがちである。
意思決定に関しては、以前は合理的になされるとされていたが、今は感情も関わってなされることが注目されている。
一般的に利得のほうが損失より早く割り引かれるとされている他、計画段階では忍耐強く、行動段階だと衝動的になるとされている。
また、利得の待ち時間と損失の待ち時間とでは、利得の待ち時間のほうが割引率が高く、この待ち時間を短く感じられる人がダイエットや禁酒を成功させやすい。ヘビースモーカー(タバコをやめられない人)ほど割引率が大きいとも言われている。
さらに、大人よりも子供のほうが割引率が大きいことから、大人になるにつれて後の利得まで考えることが出来るようになる。また、時間割引は未来だけでなく過去に対しても起こる。この例としては、10年前にもらった5万円より今貰った5万円のほうが嬉しい、ということが挙げられる。加えて、青より赤のほうが割引率が大きいことから、色の工夫が行動に影響を与えることがわかる。
現在時間割引をコントロールする薬の開発も行われているとのことで、ダイエットや禁酒・禁煙に成功することが容易になる時代も近いかもしれない。
・指数割引と双曲割引
(画像の補足)
時間割引には指数割引の考え方と双曲割引の考え方がある。
指数割引は割引率がほぼ一定であるのに対し、双曲割引はt(経過時間)によって割引率が大きく変化するという点でそれぞれ異なり、後者が現実のヒトに当てはまると近年では考えられている。
また、tを経過した時間、V(t)が感じられる利得であり、画像中のグラフは時間割引によって感じられる利得の変化を表しており、現在から近いほど「現在バイアス」がかかり人々が優先してしまいやすいということを示している。
この「現在バイアス」から上記のダイエットを後回しにする人間の心理を説明できる。