愛のかたち
世間的な基準から眺めれば、彼女は美人ではないかもしれない。うつ病で、目立つことなく甚だ地味、エレガンスやセンスとも無縁の彼女。
それでも、私にとっては美しく思える。
彼女にはまだ「綺麗です」とも言っていない。彼女の捉えかた次第では、皮肉と受けとめてしまいそう。
だから私は黙って彼女を見つめるだけ。
貧困に喘ぐ彼女は、国からの給付金をあてにしてる。
「寒い。寒い」と彼女は苦しむ。
彼女の前では、私は決して着飾らない。着飾れば彼女は傷ついてしまうから。
クローゼットから服を取り出し、彼女に似合うプレゼントしたい。
「綺麗だよ」と言ってみたい。