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ヒナドレミのコーヒーブレイク    世にも奇妙なランチ!?

 その日私は、友人とY市に来ていた。
朝9時半 駅構内のコーヒーショップで待ち合わせをし、これからの予定の打ち合わせをした。

10時 駅ビルの開店時間になると、ウインドショッピングを始めた。

11時半 正午近くになり、ランチをすることになった。駅ビルは混んでいたため、駅から少し離れたビルまで歩いた。「ここにしよう」と友人が言い、私たちはエレベーターで3階に上がり、その店(レストラン?)へと入った。何か不思議なというか奇妙な雰囲気の漂う店だった。メニューに価格が書かれていなかったが、ランチだったらそこまで高価ではないだろうと、私たちはランチセットをオーダーした。
12時40分 食後、レジに向かうと「8400円です」と言われた。高級料亭でもないのに、ランチで一人4000円以上ってどういうこと?私たちは目が点になった。だが支払わないわけにはいかないので、仕方なく支払い  店を出てエレベーターに乗る。1階のボタンを押したはずが、何故か上へ行ってしまった。ボタンを押し直したが、8階で止まったままだ。エレベーターを降り、階段を探したが、見当たらない。8階は、黒い壁に囲まれていて入口のドアがなかった。

12時45分 階段の場所を尋ねようと、中まで入って行った。歩いているうちに、今度は入口が見つからなくなった。しかも、友人とはぐれてしまった。通りがかりの何人かの人に尋ねてみたが、皆その場所を「分からない」と言う。 そのうちに、この異様な雰囲気に慣れたのか 居心地が良くなってきた。

12時50分 (しばらくここにいるのも悪くないな)と思い始めた。大浴場があったので入浴することにした。ここも、ドアらしきものはなく、くもりガラスの仕切りの向こう側にはプラスチックのカーテンのようなものが下がっていた。

12時55分 大浴場には、興奮と癒しの両方を感じる うっとりとするような香りが漂っている。その香りに包まれていると、何もかもがどうでもよくなってきた。こうして私は、異様な場所を異様とも感じなくなっていった。入浴後、その近くに程よい明るさで(仄暗い)程よい広さの空間があったので、そこで寛ぐことにした。幾つかの自販機があり、全て無料で飲食が出来るようになっていた。

17時55分 何時間経っただろうか。いきなり 私の体に付いていた何かから音が鳴った。どうやら それが終了?の合図らしく、友人と私はこの不思議な空間からエレベーターの中へと放り出された。そして私たちは1階に着き、6時間ぶりに やっとその建物から出ることができた。世にも奇妙な体験だったが、癖になりそうだった。                     完                   

 

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