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ヒナドレミのコーヒーブレイク     奇妙な日曜日

 また日曜日がやってくる。ついこの間 日曜日だったと思ったのに。歓迎しない日は 早くやって来る ということなのだろうか??

 私が何故、日曜を歓迎しないかと言うと、最近 私と日曜日の相性がすこぶる良くないからだ。先々週の日曜日は、高級腕時計を紛失してしまったし、その前の週は、彼女と避暑地に旅行へ行くはずだったのだが、彼女が夏風邪を引き、ドタキャンされたし、その前は・・・と毎週 日曜日になると、何かが起こるのだ。(良くない)と思えば思うほど、良くないこと・・・私にとって、プラスではない何か・・・が起こる。

 先週の日曜日は(今日はどこにもいかないぞ!そうすれば何も起こらないかもしれない)と思い、一日中 家にいた。夜(あれ?今日は何も起こらないゾ!?)と思った矢先に『何か』は起こった。ここまで来ると、到底 偶然とは思えない。

 この頃になると、私はもう 開き直り(もう どうにでもなれ)と思うようになった。そして 自分で『STRANGE SUNDAY』と名付け、(今週は何が起こるだろう)と期待さえしていた。

 今週もまた 日曜日がやってきた。どうせ何か起こるならと思った私だったが、今週は出掛けることにした。(さて、今週は何が起こるか?)そんな風に思いながら、私は玄関を飛び出した。まずは最寄り駅へ向かって歩く。行く先は、特に決めていない。何処でも良かった。

 駅に着いた。丁度 電車が駅へと滑り込んで来た。階段を下りて、電車に乗るべく ホームを横切っていると「あ、高成(こうせい・・・私)」電車から降りてきた彼女とバッタリ会った。どうやら彼女は家へ来るところだったようだ。「どこか行くの?」彼女は私にそう聞いてきた。「べつに」私はそう答えた。

 この後、私と彼女は、近くのファミレスへ行き、時間をかけて昼食を取った。そして彼女が言った。「この間は、旅行 ドタキャンしてごめんなさい。それで もし高成が良ければ、少し遅くなったけど 改めて 旅行に行かない?」私には、断る理由は何もなかった。当初、旅行は1泊の予定だったが、彼女の希望で2泊することにした。「あれ?今日は日曜日だよな?」私は、思わず彼女にそう聞いていた。

 そして私と彼女は 私の家へ行き、まったりした時間を過ごしていた。すると、実業家の兄から電話があり「そう言えば、高成 腕時計を無くしたって言ってただろ?見つかったのか?」と聞いてきた。「いや、まだ」私がそう答えると、兄は「オレ、新しいヤツ買ったから、譲ろうかと思って」              
                                完

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