#22 ラトゥーレット修道院の柱は細い(旅行記-後編)
リヨン到着3日目は、ラ・トゥーレット修道院の見学ツアーにゆく予定を立てていた。
建物の内部を見学できるガイドツアーは10€。
60€で修道院の内部に宿泊もできるけれど、わたしが申し込んだタイミングではすでに満室だったため、ガイドツアーのみの参加となった。
リヨンの市内からは電車40分と徒歩30分ほど。
あさ10時のツアーのため、8時のメトロD線でまずはGorge De Loup駅へ。
Gorge De Loup駅からは電車をのりかえて、TERという国鉄でL'Arbresle駅へむかう。
つもりだったのだが。
待てど暮らせど、乗ろうとおもっていた電車が来ない…。
どうやら列車が運休していたらしく、バスに振り替えになったようす。
駅員が立ってるわけでもなく、改札があるわけじゃないので出入口が閉まってるわけでもなく、ホームで1人で待っててもだ〜〜〜れも教えてくれないよ!(泣)
駅のロータリーにバスがたくさん停まっていたのでチケットを見せて、フランス語しか話さない運転手さんにここに行きたいんだ!これであってるか!と身振り手振り確認。
ホームで待ってるあいだに振替バスを一本逃していたらしく、けっきょく出発したのは駅についてから45分後のことだった。
普通に考えて間に合わん、完全に。
半泣きでバスに乗り込む。
直線距離ならおおよそ30分とかそこらで到着するけれど、本来の電車の停車駅に寄りつつ、フランスの田舎道をえっちらおっちら1時間。
L'Arbresleの駅に着いたのは10時5分前ほど。
ここからは徒歩で修道院へと向かう。知らん街の。めちゃくちゃな坂道を。徒歩で。早足で。
しかしここはダブリンで鍛えた健脚の使いどき。
おおよそ25分ほどで到着。ふうふう言いながら建物の前へ。暑くなくてよかった。
見学ツアーはすでに始まっていて、エントランスの説明がされているところであった。
中に入るときに、受付に立ち寄って遅れたけど参加していいかたずねると、快くOKしていただいた。
フランス語でのガイドツアーなので、わからない点があればのちほどなんでも質問してといっていただき、リーフレットをもらった。
ツアーは外観から始まり、応接室、礼拝堂、食堂、チャペルなどを修道士さんのガイドとともに歩いていく。
ガイドはすべてフランス語なので1ミリも理解はできなかったのだが、おそらくリーフレットの内容に準拠しているようだった。
とくに圧巻だったのはやはり大聖堂。
一見壁かと思えるほどの大きなコンクリートの回転扉を開けると、なかにひろがっている大空間。
加えてなかは明かりも限定的なので、秘められた、封鎖された場所に足を踏み入れるようで緊張感がある。
天井はとても高く、音がとても長く反響する。
だから修道士の方が喋るたびに、空から声が降ってくるように錯覚する。
カトリックの信心マインドがどういったものなのかよくわかっていない上でのものの言い方で恐縮なんだけれど、ここでミサを受けたらそれこそ人智をこえたものから語りかけられている感覚を得られるだろうなあと感じた。
一見コンクリうちで直線が目立ち、とても無機質におもえるのだけれど、チャペルのなかは土地の勾配を生かしてなだらかに坂になっている。
いわゆる一般的な西洋的な考えかた、シンメトリーへの美の見出しかたとか、自然に対しての目線とか、そういうものとは異なっているところが、(主語広くて申し訳ないけど)日本人的にもウケる場所なんだろうなあとおもったりした。
ツラがよければ場所なんかどこでもいいってわけじゃなくて、この土地に建っている意味であったり、自分自身がいまどこに立っているのかということを意識したり考えたりできるのっていい。
ツアーは1時間半ほどで終了。
中判カメラを抱えて外から写真を何枚かとったのでついでに載せておく。
いやあ、何はともあれ晴れててよかったし間に合って(ないけど)よかった。
あとこちらにきてから全然使えてなかったMamiyaRBちゃんも活躍の機会があってよかった。
帰りはまた長い道のりをカメラ片手にえっちらおっちらと徒歩。
駅からは電車が動いていたのでそれにのってリヨンの中心部まで帰った。
そんなわけで、はじめてのフランス旅行の記録はおわり。
行ってみたいけど金銭とか優先順位の兼ね合いでやりたいことリストの最後の方に載っていたような場所へわりと簡単に、数万円で行けてしまうのもヨーロッパワーホリのよいところだなあとしみじみ感じた三泊四日の滞在でした。
また旅行するぞ〜。