飲食と人生 ( 取り留めのない放言とレシピ) その12
魚の下処理
魚は下処理すると、驚くほど美味くなり、バリエーションが広がります。
私は、若い頃は特に人間関係が苦手な方で、自立、自尊、絶対的存在 (相対的ではない自己ですね)に憧れてオリました。
今、考えるとセコいヤツですね。役に立つ人、立たないヤツ、有能な人、自分の趣味、嗜好に合う人、、、そうです、基本的に 感情を持つ
人間そのものは苦手でした。
今頃になってやっと、喜怒哀楽や
欠点を持つ老若男女と縁あれば、
少なくとも食事ぐらいは共に、と思えるようになりました。
そこで、そのキモチをどう表現するか、の一つが 私の場合、料理であります。
一期一会であっても、相手が全くもって、気付かなくとも 関係なく、
自分の思う美味しさで、短い時間を共有出来ればと、思っています。
スーパーでしか、食材調達出来ない状況でも 魚は旬、鮮度と同様に
下処理が味、風味を左右しますので、腕の見せ所ですね。血抜き、神経抜き、したモノがあれば、更に美味しく食べれます。私なら、その中から選びます。
例えば、鯖ですが、朝どれ(出来ればクビ折り)、中、大型の鯖を見かけるとウズウズしますね。
最近はどのスーパーでも、魚屋さんのように、内蔵、エラ取り、2枚下ろし( 片身に骨が付いている。)3枚下ろし、ヒラメなどは5枚下ろし、などをやってもらえます。ウロコひき、うろこ梳き(大型のブリ、ヒラマサ、ヒラメ等で、身を傷めず、鱗を取ります。) 頭割り等も やっていただけます。
鯖は強く塩を振って、体液抜きしても、塩味が身に入ることは有りません。(白身の魚に同じようにすると塩辛くて食べれなくなります。はは。)
身質によるのですが10−30分位の体液抜き、その後、酒洗いをして置きます。
ここまでの工程が、最近は 特に
アニキサスの問題もあって、大切です。(朝採れー午前中終了)であれば、
刺し身、酢締めは、自己責任で食べましょう。
一度、冷凍すると安全ですが、風味や食感が、かなり違いますよ。
潮煮(3-4%の塩水で煮る、驚くほど美味いですよ。)
味噌煮、塩焼き、幽庵焼きなども、安心して、ひと味美味しく、仕上がります。
オススメは、潮煮と素焼きでしょうか。
鯖の持つ強烈な旨味が、味わえます。
同時に、下処理の大切さがよく判るはずです。
また その素焼きを使った、ばら寿司も素晴らしく豊かなモノが出来上がります。
米は通常の、ササニシキやミルキークイン等の粘りの少ないモノより、 仁多米に代表される粘りがあっても味の濃い、こしひかりを使って、酢も黒酢を少し混ぜたほうが、調子が良いように思えます。
黒酢自体は、内堀醸造の臨湖山などは 旨味成分が驚くほど強く、中華などにはよく使いますが、すし酢には3割程度で充分です。タマノイの黒酢は上品に仕上げてあり、5−6割程度、純米酢と混ぜて、昆布、塩、色の薄い粗精糖で味付けします。(塩は甘みを引き立てる為に必要です。素精糖が少なくて済みます。一般的なレシピの半分以下で充分です。)
酢は、有機純米、静置発酵、等のキーワードで入手しましょう。内堀醸造や河原酢造、千鳥酢、等の良いモノが有ります。
ばら寿司なので、錦糸卵、さやえんどう、海苔、胡麻、ごぼう、カンピョウ等は、ご自由に。私が譲れないのは
干し椎茸の甘醤油煮ですね。サバが素焼きなので良く合います。
頭と骨で澄まし汁を、是非、試してみて下さい。2つ割したサバの頭を塩でしっかり洗ってヌメリを取り、更にタップリ塩をしておきます。鍋にグラグラ湯を沸かし、塩ごと頭と骨を入れて、再沸騰したら、ザルに空けます。この煮汁は、猫も食べない、魚の臭みが有ります。ザルの残った頭と骨を綺麗に洗った鍋に入れ、人数分の昆布水
(又は直接、昆布と水)と純米酒1−2割を入れて、弱火で沸騰前の状態でアルコールを飛ばしながら、サバの旨味を引き出します。5−6分でしょうか。
味付けは塩で9割方、ほんの香り付けに薄口醤油だけで充分です。
鯖の頭の汁だと言うと、皆、驚きます。とても上品に、かつ、充分な旨味を鯖の頭は持っています。
鯛は、ご存知のように濃厚ですが、タイ独特の風味があります。
最近は、鯛の頭のアクアパッツァにハマっています。お試しあれ。野菜やパスタ(カッペリーニや細いショートパスタ)を沢山入れると、メインでイケます。(薄塩で下処理は必須ですよ。)
ヒラメ等の海底近くに住む魚のあらもすっぽんのような豊かな旨味と上質な脂を含んでいて、驚きの旨さです。
これらのスープでは、蕎麦との相性も良く、食べてもらうとほとんどの方は、汁まで1滴も残さず、一気に食べてくれます。
ブリやヒラマサなども強塩をして、一度、湯がき捨てると大量の生姜や濃い醤油、味醂、砂糖が必要なく、タップリの旨味を魚臭くなく、引き出せます。
次回も魚料理です。
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