「砂とシュラ王・エピローグ」
トキコが出て行ってからというもの。
僕の方ではいろいろなことがあった。
明け方に不可思議な光に包まれたり。
寝ている間に細長い人型の影が夢に出てきたり。
夜くつろいでいたら自室で男性の声によくわからないが何故か認められていたり。
宇宙人か異次元人だとも、ただ単に超常現象かとも思ったが、それは科学の世界で見た話だ。
文化的に見たら神さまからのお知らせである。
妖怪だと言う人もいるだろうけど。
神棚と仏壇を祀ることにしたら、立ち姿か人の顔のような雑念の像や、真冬の夜中に自室を子供たちの声が駆け抜けていくのも体験した。
たまに、神棚の水玉は語り、仏壇から花の香が芳る。
お香に火はつけていなくとも。
水玉がときどき鳴るのは説明がつかないし。
香りは微粒子の働きだとしても、2m近い距離を対流の動きもなしに届き得るのだろうか…。
見えないトキコにイタズラでもされているのだろうか…。
そう思うと、気がつけば街中にトキコの影を探す日々が続いた。
或いは、不可思議な女性・トキコは神さまの眷属だったのかもしれない。
砂場へは、行けなくなっていた。道順を忘れてしまった。誰かが家を訪ねる気配もなく、ただ漫然と日々を消化する、スケジュールとは無縁の日々。
「大馬鹿ねぇ…午と寿を合わせたら八十八なんだがなぁ。」
思案に暮れていると見知った顔に出会った。
「やあ。」
「あっ久しぶり。」
トキコは名前を変えたらしい。
″透子″改め″祝子″にしたそうだ。
縁起が良さそうでよろしい。
肌は健康的な白に近い鴇色になっていた。
「それ、その肌どうしたの?」
「ひみつー。」
砂とシュラ王・エピローグ
〜水晶とpurple people〜
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