見出し画像

掌編ファンタジー小説「異世界伝聞録」その13

感覚の門を閉ざすことは、その間に秘を入れることに他ならない。


この世界に生まれ、僅かばかりを知り。

その在り方を良しとするか。

変転に撒かれた塵は銀河になり。

その声は紛れもなく秘である。

僕らは塵芥の粒だ。

君も、あなたも、当然僕も。

しかし、その一粒が歴史的であるとは思わないか?

歴史は帯だ。途切れることはない。

始まりも終わりも定かではないが、それを知ることはできた。

人間、岐路に立つ時期がある。

鉄は熱いうちに打てという。

それは不純物を取り出し、元素を整列させるが如く。

鉄といえど塵に同じく。

こと元素には性格の向き不向きがある。

時の流れに沿う元素を“金“だとすると、なにがそれに当たるのか?

“時は金なり(Time is money)“

月の雫。鏡花水月の如く。

ゆっくりと、ゆっくりと。味わい深く一雫を飲み下していく。

それは時と星の元素(エレメント)。

それが帯であり、大河は色とりどりの粒に輝く。

……真実の光を知るか。それは存在の到達点。

我らが数百億より至るこの形からはじまり、更に後の知ることも果てし時。

闇の音に安息を。その秘に門を開き。あるべき姿はありのまま……。

私たちは、すべてを知ったようで。
何も知らぬことと同じこと。

「いやぁ、言葉(ワードラベリング)ってのはすごいね……。確かに、これじゃ僕らは無知を楽しむしかない。願わくば……。」
 
空の果てに在りし日を。僕らの、遠く永い親戚たちよ。

ーーー異世界伝聞録。


よろしければサポートお願いします。 僕の活動費に使わせていただきます😊!