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掌編小説「±-0ⅱ〜青天の霹靂〜」

“構造的原質の起源への探求は、即ち「すべて」を秤にかけ得ることだ。“

「いただきます。」

語部ゲンゴは箸で飯を頬張り、味噌汁を一口飲むと、鮎の塩焼きを美味そうに頬張った。

黙々と食べる。食べる。箸は止まらない。

「おかわり。」

茨城は大子町、竜神伝説の残る奥久慈周辺。

梁漁(やなりょう)で自然を散策しては食事処で腹ごしらえしつつ、地域の竜神伝説を調べていた。


「沢又三太の巨人伝説、山間の雷神の伝承に、竜神峡伝説……。」

大陸からの文化に近いのはわかるが、やはりギリシャ・ローマ神話系、北欧神話系とも似ているな。

鹿島には神宮もある。

奈良・平安期に鍛えられた直刀/黒漆平文太刀拵が有名らしい。

雷神と竜神は対になってもいる。

筑波山に霞ヶ浦…。

筑波の山は優しいのだともいう。

言葉にロゴスが宿るのならば……いや、神々の秘を知ったとて、哲学を嗜む者にはさほど意味はない。ただ……。

「ヘラクレスとヘラクレイトス。数秘の難題か哲の偉業か。俺が知りたいのはなんだ? それを知っても足掛かりにしかなるまい。」
 
呟くのは既に分かりきった事実。

「或いは“珠“か?」

                   ±-0ⅱ
               〜青天の霹靂〜


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