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【詩】のっぺらぼう
あんたなんか のっぺらぼう
覚えているのは 甘いうなじとタバコの香り
いつの間にか もう のっぺらぼう
街中ですれ違ったら
私はあなたに気が付くかしら
あの頃なかった シワがあって
あの頃なかった 白髪があって
あの頃なかった 指輪が左手にあるのかな
そんなあなたに気がついたなら
「幸せそうでよかった」
そう 遠くから言葉をかけるとしましょう
怒りや嫉妬心なんて ちっとも湧かないの
だって
あんたなんか のっぺらぼう
最後の最後に あなたに別れを告げた私は
悲しくなんかなかった
むしろ 清々しくさえあった
私は 意思を以ってあなたとの茶番を手放したのだから
どちらも悪くなかった
どちらも幼かっただけ
だなんて きれいごと
あんたなんか もう のっぺらぼう