記憶の中に降る雪

あけがたの月に睨まれて
叫ぶ名前は想い出の人
あの人が運んできた
１２月の雪の花は
枯れてしまって
今はもう咲く事はことは無い
旅を繰り返して気付いたことは
随分と靴が擦り減ったなと
いうことくらい
誰よりも悲しい顔を拵えたつもりが
実はそんなに悲しくは無いんだ
ただ、雪が降っている
それだけのこと

なごり雪